FXは1000取引1単位で考えよう
FXをギャンブルとしてではなく、安定した資産運用の手段として考えるなら、長期的な視野は必要不可欠です。
具体的に言うと、1000トレードを1単位として見るようにすると、FX初心者が陥りがちな多くの失敗を回避することが可能になります。
目先の利益ではなく、長期的な視野でトレードしよう!
長期的な視野の必要性については、勝ちパターンを見つけることの重要性や毎日のトラックレコードの有効性についての話でも繰り返し述べましたので、話はかぶりますが、今回は少し視点を変えて、再度、その点について述べたいと思います。
お題は「1日どれくらい取引してどれくらいの勝率を上げればどれくらい儲かるか」です。
FX初心者の方は、1000トレード1単位の意味がよく分からないでしょうから、以下で、例をしめしてみます。
以下の例は、かつて筆者がスキャルピングメインで取引を行っていた時のものです。
私が1月でどのくらいのトレード回数をこなし、どのくらいの勝率で、どのくらいの利益を目指したのかを、参考までに書いてみたいと思います。
運用資産:1000万円
1月の平均トレード回数:約100回(1日5回)
10カ月で1000回トレードがノルマ
1回の目標利益:20pips
1回の損切り幅:20pips
取引枚数:100枚(レバレッジ10倍)
10か月の目標利益:100pips(つまり月収平均10万円)
筆者の場合、FXを始めて4年目ごろまでは検証の意味もあって、1月平均100トレードをノルマにしていました。
また、トレードスタイルは、スキャルピングよりのデイトレが主体なため、決済幅も狭く、損小利大トレードがやりにくいため、リカクと損切り幅を同じにして、その分、勝率を5割以上にすることを目指していました。
ちなみに、10ヶ月1000トレードの場合、取引コストは300pipsにもなるので(筆者のメインFX業者のドル円のスプレッドは0,3pips)、目標利益と合わせて、400pipsの勝ち越しが必要で、1000トレード中、510勝490敗(勝率5割1分)で、目標の月収平均10万円が達成できることになります。
かつては、おかげさまで、この目標を2,3年にわたって大きく超えていた時期があり、月100万を超える時もあったのですが、体力的な問題や相場状況の変化による勝率の低下(あまり勝てなくなった)のため、今現在は、別のトレードルールで取引をしています。
という筆者の身の上話はこの際どうでもよく、大切なのは上記のように、筆者が「1000トレード中、たった10の勝ち越しでOK」という見通しのもとにほぼ機械的にトレードしていたという点です。
FXではメンタルコントロールが必須
FXや株式投資をある程度やったことがある人なら、わかると思いますが、投資では、如何に平常心で冷静に相場を見極められるか、というのは成否を分ける重要な要素です。
・損が出るとビビッてすぐに損切りしてしまう
これは初心者にありがちな損切り貧乏というものですね(この後大抵は損切りできない病へと進みます)。
目先の損益ばかり気にしていると、上記のような失敗パターンに陥りがちです。
特に一攫千金を目指して、ハイレバでのスキャルピングがメインの人によく見られる傾向で、彼らに共通しているのは、前述したように長期的な視野が欠けていることです。
繰り返しますが、こういった初心者が陥りがちな失敗例は、少なくとも、ある程度のトレード回数を1単位と見ることで、回避可能です。
勿論、冒頭で挙げた1000トレード1単位はあくまで目安で、100トレード1単位でも構いません(個人的には数は多いに越したことはないと思ってますが)。
そうやってある程度の数をこなすことを最初から想定しさえすれば、自分の設定しているリカク幅と損失幅の比率やFX業者のスプレッドを考慮すれば、どれくらい勝てば十分なのか(必要勝率)が簡単に計算できます。
あるいは20連敗くらいした場合、どれくらい資産が減って、その損失額は自分の許容範囲なのか、などが事前に知ることができ、どの程度の取引枚数やレバレッジでトレードすべきかも自ずとわかってます(ちなみに筆者の場合、過去最高は19連敗というのがあるので、やはり20連敗位は想定しておきたいものです)。
仮に、FXを始めて、一方的に損失額が膨らむようなことがあっても、それが想定内なら、全く恐れることはないわけで、いや、やっぱり初心者の場合は、少しは怖いかも知れませんが(笑)、それでも、全く想定してしていない場合よりは、冷静に、機械的なトレードができるはずです。
勝率10割を目指す必要はない
全くそういった計算を行うことなく、目先の1トレードにのみ集中してしまうと、何回か負けが続いた時の心理的ダメージは、計り知れません。
しかし、上記の例を見ればわかるように、リカク幅と損切り幅が同じ場合、たった5割1分程度の勝率でも十分稼ぐことは可能です。
これはおそらく多くのFX初心者が抱いている感覚よりもはるかに低い勝率なのではないでしょうか。
FX初心者は、ともすれば、勝率10割でも目指しているの?と思ってしまうほど、1トレードに対して、思いを込めすぎている気がします。
いえ、勿論、1000トレード1単位といっても、1回1回のトレードを軽視していいわけではありませんが、所詮、勝ち負けに100%はありません。
相場の動きを100%の確率で予測できる人は、世界中のどこを探しても存在しません。
つまり、1回や2回負けたところで、全く気にする必要はなく、要はトータルで勝てればいいわけです。
最後の注意点
と、ここまで読んでいただけると、初心者の方でもなんとなく勝てそうな気がしてきたのではないでしょうか。
しかし、現実は甘くはありません。
1000回トレードして400勝600敗。
FXは上か下かを予測する単なる博打(マネーゲーム)とみることも可能ですが、丁半博打の場合、トレード回数をこなせばこなすほど、勝率は5割に近づいていきます。
が、1000回程度なら、勝率4割なんてのは十分あり得る数字です(逆もあり得ますが)。
十分、損失に耐えられるよう、初心者はまずは少ない枚数からトレードを始めましょう、とこのサイトで繰り返し書いているのも、そういった理由があるからです。
というわけで、決して、目先のお金に目がくらんで、ハイレバでの短期トレードをしないようにしましょう。
いえ、勿論、完全にギャンブルと割り切って、一か八かで勝負したいというなら、別に止めはしませんが(笑)。
しかし、FXで長期的にお金を稼ごうと思うのなら、勝ちパターンを知っている必要があります。
自分の過去のトレード内容を分析したり、バックテストやフォワードテストを行ったりして、相場に存在する勝利の方程式を見つける必要があるわけで、そのためには、結局のところ数をこなすことは、避けては通れません。
何も考えずに、ギャンブル的トレードを繰り返しても、うまくいけば、大金を手にすることは可能かもしれませんが、勝ちパターンを見つけることはいつまでたっても不可能ですから、下手すれば、大損だけが残ることになります。