副業FXで失敗する典型的なケース
副業でFXを始めるサラリーマンやOLの人は多いものの、その多くは期待通りの収益を得られずに、1年もたずに為替相場から退場するケースが多いです。
今回は、そんな「意気揚々と副業でFXを始めたものの、1年経たずに辞めてしまったとある会社員」の体験談を紹介します。
あまりにも初心者が陥りやすい失敗パターンなので結構参考になるのではないでしょうか。
目次
FXを始めたきっかけ
- 職業:会社員
- 年収:300万円ほど
- 年齢:30代
- 性別:男(独身、彼女有)
そこそこの大学を出て、地元の企業に就職、約10年近く自宅と会社との往復だけの生活に明け暮れ、歳も三十路に入って「このままでいのかな」とふと思ったのがFXを始めることにしたきっかけでしょうか。
もともと第一希望の大学へ進学したわけでもなく、当然、やりたい職を選べる立場ではなかったので、多くの人がそうであるように、適当に選んだ地元企業へ就職したわけですが、20代のころはなんとなく周囲に流されるままに生きていたように思います。
それが30代へ突入することで、ふと「このままではいけない。何かしなければ」と思うようになりました。
その「何か」が投資だったわけですが、最初に考えていたのは株式投資でした。
スマホで趣味感覚でFXを始めてみる
僕自身も朝夕の通勤時間、電車内でスマホゲームをやるたちなのですが、最近多いですよね、そういう人。
でも、ゲームは暇つぶしにはなっても、お金を得られるわけでもなければ何かを学べるわけではありません。
毎日の通勤時間とスマホを利用して、何か勉強とか副業とかできればいいのに。
そんなふうに考えた時、ふとスマホで株とかのデイトレできるんじゃないか、と思えたのです。
投資で勝つのは難しいかも知れませんが、勝てなくても勉強になるんじゃないか。将来的に役に立つのではないか。
これも自己投資と呼べるんじゃないか。
それに上手くいけば思いのほか儲かるかもしれないし。
そんなふうに考えた時、もう迷う理由はありませんでした。
FXを選んだ理由
最初は株式投資をするつもりでしたが、いろいろ知人等に聞いてみたところ、以下のような理由で僕のようなタイプはFXのほうが向いているとのことでした。
- FXなら24時間トレード可能
- FXなら少額から始めることができる
僕は彼女がいて、結婚資金にと200万ほどの貯金がありましたので、あまり「少額から」にはこだわっていなかったのですが、性格上、ギャンブラー性質なのか、すぐに結果が出るデイトレがしたかったので、いつでもデイトレができるFXを投資商品として選択することにしました。
FXは始めるのは簡単
FXはネットを使えば口座開設からリアルトレードまで1週間もかかりません。
書類を用意したりするのもそれほど面倒ではありませんでした。
また、ほとんどのFX業者がデモ口座(練習用の口座)を用意してくれているので、リアルトレード開始までの数日間の間はデモ口座で架空の資金を使ってトレードの練習をすることができます。
FXは株式投資とちがって、ややこしい知識はほとんど必要ありません。
多くの人は、重要経済指標を頭に叩き込み、その結果を見て、トレードしているようですが、僕は経済指標すらもあまり見なかったです。
ほとんど勘というかチャートの形を見て、買いか売りかを判断していました。
当然ながらこれが良くなかったようで、今思えば、もっとしっかりと予習をしてからリアルトレードに入るべきだったと反省しています。
僕の場合、運が良かったのか悪かったのか、この勘頼りのトレード手法でデモ口座での仮想トレードで大勝ちしてしまったのです。
これがその後、投資資金をあっという間に溶かす原因になったのですが、当初は完全にFXを舐めきってました。
デモトレードまでは順風満帆
デモトレードでは5枚から10枚でトレードしていました。
簡単に説明しておくと、例えばドル円を1ドル100円の時に買って101円の時に売れば、1円の利益になります。
これがFXで利益がでる仕組みです。
通常、FXは1枚(1ロット=1万通貨)からトレード可能で、1万通貨、つまり1万ドル単位での取引になるので、上記のような例では
1枚でのトレードは1万円
5枚では5万円
10枚では10万円
の利益になります。
勿論、10枚でのトレードは本来1000万くらいの投資金がいるのですが、FXはレバレッジが25倍までかけられるので、実際は
1000万円÷25=40万円
程度の資金で10枚でのトレードが可能です。
僕はデモ口座でのトレードで仮想資金500万円から始めて、10枚でのトレードで毎日1,2時間スマホをいじるだけで3,4日で600万くらいまで増やすことに成功しました。
損切りは早めに、という基礎入門書の教えを守っていましたが、その間の勝率はゆうに8割を超えていたと思います。
正直、この結果に僕自身天狗になってしまっていたのかもしれません。
毎日、やりたくもない、面白くない仕事を10年近く朝から晩までこなしてきた僕ですが「お金ってこんなに簡単に儲かるものなの?」みたいな感覚に陥りました。
当初は、スマホでゲーム感覚で、勝てなくても勉強になるから。
といった軽い感覚だったのはずなのに、デモトレードが上手くいきすぎたせいもあってか「FXでがんがん稼いで会社を辞めて専業トレーダーになれたりして」くらいにまで考えるようになっていました。
リアルトレードを始める前に、です。
リアルトレードは甘くない
デモトレードでは上手くいっていた関わらず、リアルトレードでは連戦連敗スタートになりました。
投資資金はたった200万円しかないにもかかわらず、リアルトレードでもいきなり10枚(1000万円分のトレード。レバレッジ約5倍)から始めるという身の程知らずの僕でしたが、そこにまっていたのは想像を絶するプレッシャーの毎日でした。
デモトレードでは
プラス5万
マイナス2万
マイナス3万
マイナス1万
プラス1万
プラス3万
プラス2万
プラス4万
プラス3万
……
……
……
結果:勝率8割&計プラス約10万円の利益
みたいな感じで1日十数回のトレード、毎日のように10万から20万くらい勝っていたのすが、当然、結果プラス3万で終わったトレードでも途中マイナスになったりすることは多々ありましたし、連敗もありました。
しかし、結果として連戦連勝が多く、勝つのが当たり前の感覚になっていたのもリアルトレードでマイナスに働いたのでしょう。
デモトレードと同じように勝ち負けが推移した場合でも
プラス5万(よし!)
マイナス2万(くそ!)
マイナス3万(ああーっ!)
マイナス1万(やばい!)
みたいになって、デモトレードとは比べ物にならないくらい熱くなっていたように思います。
それにデモトレードで運を使い果たしたのか、リアルトレードでは勝率も5割以下。
というより、感覚的には8割くらい負けてたように当時は感じていました。
デモでは3日間で500万→600万でしたが、リアルトレードでは反対に2週間たたずに200万から100万円へと気がつけば半減してしまっていたのですから、当然と言えば当然でしょう。
レバレッジ高めで取引すれば、資金が増えるのもあっという間ですが、減る時もあっという間。
当然ながら、その恐怖を実感したのはこの時が初めてでした。
背筋が凍る思いをしました。
めげずに再チャレンジするも
賢明な人なら、ここで「やはりそう簡単に勝てるほどFXは甘くない」とFXを辞めてしまうのかもしれません。
僕もこのタイミングでやめておけば、この後、無駄な時間を使うことも、更に大金を失うこともなかったのですが……。
僕はあきらめが悪いというか、その後もFXを続けてしまいました。
というより、たったの半月程度しかやってないので、何故負けたのかも、当時の自分にははっきりしていませんでした。
しかも、デモ口座では面白いように勝てたこともあって「上手くやりさえすれば」という思いが残っていたのでしょう。
取りあえず、僕はFX関連の書籍を4,5冊、遅まきながら読むことにしました(入門書1冊しか読んでなかったので)。
そしてそれらを読むにつれ、いかに自分のこれまでのトレードが無謀だったかを認識させられます。
自分のトレードルールに従ってトレードすることの大切さ。
FXにおいて一番大切なのは、どのFX本にかかれてあることも、要約すればこういうことのようでした。
これまでの僕はそれができていなかった。
だから、僕はそれから買う時も売る時も「何故、買うのか。何故、売るのか」をしっかりと意識し、漠然とトレードすることだけは避けるよう心がけました。
FXはメンタルコントロールが難しい
それから取引枚数も最小単位の1枚(1万通貨)にまで下げました。
これなら2週間でマイナス100万円なんてことは絶対にありません。
こうやって再びFXトレードを再開するも、結果は思うようにはいきませんでした。
レバレッジを下げたことにより、一気に資金が減るということはなくなりましたし、連戦連敗もなくなりました。
が、肝心の利益が増えません。というより寧ろ徐々に減っていってしまっていました。
デイトレなので、利食い幅と損切り幅は同じに設定していたので、勝率5割を越えない限り利益は乗らないのですが、しかし勝率が5割を割らない限りは損失も増えないはず。
そして肝心の勝率は多少勉強したかいもあってか5割強程度は維持できていたと思います。
にも拘わらずどんどんとマイナスが増えていく理由は、僕のトレードが利小損大になってしまっていたからでした。
プラス2100円
マイナス2030円
プラス2500円
マイナス2200円
プラス2000円
マイナス1万5000円
プラス2000円
プラス1900円
マイナス5000円
マイナス2万300円
当時のトレード内容は上記のような感じ。
どうしても損切りする際にワンテンポ、決心が遅れてしまい、その結果、損切りのタイミングを逸し、気がつけば当初の予定を大幅に超える損失額になってしまっているのです。
先ほども述べたように最初の設定では利食い幅を損切り幅は同じ20pips。
なのにマイナス100pipsを超える負けがトレード履歴の中にちらほら存在しました。
僕はこれが自分の敗因。つまり上手く損切りできないことが僕がFXで勝てない最大の要因であると当時は思い込んでいました。
だからしっかりと当初の予定通り、損切りができるようになれば、勝てるようになるはず。
そう考えて、できるだけ心を平静に、ルールに従ってトレードするよう保つよう心がけました。
その結果、100pips超の大きなマイナスはほとんどなくなるようになったのですが……。
それでも、1週間に数回は、必ず損切りの踏ん切りがつかずにマイナス100pipsのトレードをしてしまう癖は治りませんでした。
何故、損切りのタイミングを誤ってしまうかというと、FXをやった事がある人なら知っているかと思いますが、為替相場は基本的に同じところを行ったり来たりするからです。
損切りしなければ99%負けないといっても良いくらい、行ったり来たりします。
僕の場合、過去のトレード履歴を顧みると、仮に損切りしていなければ全てのトレードが勝ちトレードになっているものばかりでした。
だから、つい連敗が続くとそれをいっきに取り返そうと思ってしまい、つい運に頼ってみたくなるのです。
この癖は、最後まで、結局FXを辞めるまで治らず、その結果「勝率5割、たまに大負け」で資金はどんどん減るばかり。
1ヵ月を過ぎたころには最初の結婚資金200万は底をつきかけ、僕は自分の毎月の給料からお小遣いを削ってFX口座へ追加。
その後、2ヶ月ほどなんとか勝機を見出そうとあがきましたが、資金の供給も追い付かず、周囲の説得もあって結局……。
たったの3ヵ月でFX相場から退場することにしました(泣)。
ちなみに先ほど「損切りしなければ99%負けない」と書きましたが、仮に一切損切りしなければどうなるのか。
その結果を検証する前に精根果ててしまいましたが、おそらく運が良ければそれなりに勝つことができるでしょうが、運が悪ければあっという間の破産だと思います。
FXで勝ち続けるのは容易ではない
というわけで、僕はたった3ヶ月でFX取引を辞めることにしましたが、理由はどうしても損切りできない癖が治らないから。
だけではなく、FXを始めて3ヵ月後、とある事実に気づいたから、というのが一番の理由です。
それは、これまでのトレード履歴を見るに、仮に損切りに失敗していなくても勝率5割で勝ち負けほぼ0であることに気付いたからです。
つまり上手くやってもプラスマイナス0。
いえ、手数料(スプレッド)の分だけ損していくので、微小ですがマイナスです。
この事実に気付いた時、これまで見えなかった決して乗り越えることのできない壁を目の前に感じたのです。
3か月のFXライフを振り返る
この3ヶ月、ほとんどFXのことだけ考えていました。
仕事中も為替相場が気になり、頻繁にチェック。
朝起きても夜寝ている間も、たまにチャートを見たり、いつも何気に見ている経済ニュースにも敏感に反応してしまったり、にも拘わらず、どんどんお金は減り、このままではいけないと焦り、本を読んだり、プログを読んだり、1日24時間、FXにはまりにはまっていたと思います。
結婚資金200万を溶かしたこともあり、なんとか取り返そうと、必死だったのです。
正直、気が休まる時間がありませんでした。
FXを始めて3ヵ月後の僕はまさに精も根も尽き果てた状態だったように思います。
FX生活で失ったもの。
結婚資金にと貯めていた全貯金200万と24時間×3か月間の時間。
そしてその間、プレッシャーでずたずたになった心の平穏。
FX生活3ヶ月の間に得たもの。
それはやはりお金は簡単には稼げない、という事実を思い知れたこと。
それだけです。しかも高い授業料(200万超)を払って。
あ、それとそれまでの毎日の生活が退屈ではあれ、それなりに悪くなかったことを再確認できたのもFXのおかげかもしれません(笑)。
今現在、FXを辞めて半年ほどたち、決してFXを始めたこと自体を後悔はしていないのですが、本当にやめてよかったと心から思っています。
200万は大きな痛手ですが、お金はまた貯めればいいだけですから。
もっともっとFXで大金を失った人もいるそうですから、そう思えば僕はまだまだ運がよかったと自分に言い聞かせています。
副業FXで失敗しないために必要なもの
たった3ヶ月の投資生活でしたが、もし「FX勝ち組になるのに必要なものって何?」と聞かれたら僕なりの答えはたったの3つになると思います。
- 鋼鉄のメンタル
- 時間
- 大量の投資金
まず1ですね。
FXで勝っている人って本当にいるのかどうかわかりませんが、もしいるとしたら、間違いなく、心臓に毛が生えているのではないでしょうか(笑)。
この3ヶ月を振り返ってみて、それくらい僕自身、精神的にかなりきつかったです。
FXでご飯を食べている人がもし本当にいるのなら、相当メンタルがタフな人に違いありません。
これだけは間違いないように思います。
また、時間とお金を持て余している、というのも勝ち組の多くに当てはまっている条件のように思います。
僕はトレード技術は未熟なままで、全く進歩しないままでしたが、僕なりに結構頭を使って考えたつもりです。
にもかかわらず、結局勝機の糸口すら見出すことができませんでした。
単に頭が悪いだけかもしれませんが(笑)。
トレード技術を磨くには時間がかかる。3ヶ月程度じゃダメ。
その間のマイナスに耐える必要がある。
あ、これはレバレッジを低めにして少額から始めればいいだけか(笑)。
とにかく、時間とお金はあればあるほど有利だと思います。
お金に余裕があればプレッシャーも少なくてすむでしょうし。
あと、最後にこれからFXを始めようかどうか迷っている初心者の方へ。
一言だけ、言わせてもらいます。
絶対失敗するからやめといたほうがいいよ(笑)。