FXで8億稼いだ脱税主婦「ミセス・ワタナベ」こと池辺雪子さんの話

皆さんは池辺雪子さんという方を知っていますか?
名前を聞いても全く思い当たらない人は多いかも知れません。

しかし「2007年に億単位の脱税で捕まった世田谷の専業主婦の人」と言えば、FXに興味のある方ならピンとくる方も多いのではないでしょうか。

池辺雪子さんは2007年にFXで4億円の利益を出すも、納税額1億3000万を脱税したとして、東京国税局に告発されたことで一躍時の人になりました。

このニュースにより

FXは儲かる!

という感想を抱き、FXを始めた方は多いはず(実は筆者もその一人です笑)。

今回の話は「ミセス・ワタナベ」「キモノ・トレーダー」などと呼ばれ、海外でも有名な池辺雪子さんに関するものですが、この世田谷4億円主婦の今と昔を知ることで、FXの真実がいろいろと浮き彫りになってきます。

池辺雪子さんの生涯獲得利益は8億円以上!?

池辺雪子さんは2003年から2005年の3年間で4億円を稼ぎ、その間納税していなかったとして脱税容疑で告発されたわけですが、本人いわくFXは2000年ごろから始め、稼いだ利益は8億円にも上る、とのこと。
本当かどうかは知る由もありませんが、もし本当だとしたらすごいことです。

池辺雪子さんのFX業界に与えた影響

本人は「脱税しようと思ってしたわけではない」とおっしゃっていますが、当時はFXでの高額脱税者は他にも多数いました。

理由は

  1. 株のように源泉徴収ではないこと
  2. 当時のFXの利益にかかる税率が最大50%
  3. マイナンバーが普及していなかったため脱税が発覚しにくかった

の3点があげられるでしょう。

特にFXの税率は、当時は最大50%と、正直、冷遇されていました。
せっかく4億稼いでも2億持っていかれるわけですから、誰でも隠したくなるというものです。

今はFXの税率は復興特別所得税を含めた一律20.315%であり、しかも、2016年から始まったマイナンバーにより、FXの所得も税務署に筒抜けになりましたので、脱税するリスクは大幅に上昇しました。
なので、今後は脱税者は大幅に減ることになるでしょう。

しかし、この世田谷主婦脱税事件が世間に与えた影響については、私たちFXトレーダーは忘れてはいけない、と思います。
それまでマイナーな投資手段であり、ほとんどの人が注目していなかったFX(外国為替証拠金取引)というややこしい名前の金融商品が、この事件を機に一気に世間から注目されるようになり、いまや株式投資と並ぶメジャーな投資商品にまで上り詰めたのですから。

レバレッジ規制もあってFX熱は一時より冷めている感はありますが、それでも投資といえば株しか頭になかった日本人にもう一つの選択肢を与えたことの功績は大きいのではないでしょうか。

今現在、FX業界に携わっている人、FXで大儲けした人は、正直、池辺雪子さんに足を向けて眠れないはずです(笑)。

勿論、FXで損した人のほうが多いわけですが、そういう人は他の投資商品に手を出して遅かれ早かれ損していたでしょうから、やはり功績のほうが大きいような気がします。

世田谷主婦脱税事件が教えてくれたFXの真実

前置きが長くなりましたが本題はここからです。
実は、筆者は、池辺雪子さんの当時と今のビジネススタイルを見つめることで見えてくる真実がある、と思っています。

それは

  1. 当時はFXで稼ぎやすい時代だった
  2. 今FXで大儲けするのは簡単ではない

の2点です。

実は、池辺雪子さんが稼いでいたとされる2003年ごろから2007年終わりまで、為替相場は円安トレンドが続いていました。

2003-2007dolleryen

当時は円キャリートレードと呼ばれる投資手法が大人気で、言ってしまえば円を売って外貨を買っていれば誰がやっても儲かる時期だったと言えます。

円キャリートレードとは円を売って外貨を購入することで、円安トレンドによる利ざや(キャピタルゲイン)だけでなく、スワップ金利(インカムゲイン)もゲットできるという、2重に美味しいトレード手法のこと。ポジションを持ち続けることをキャリングとも呼ぶことからこう名づけられました。

上の画像を見ても明らかなように、円キャリートレードを行っていれば、誰でもFXで大儲けすることが可能でした。

勿論、これは結果論で、当時FXをやっていた人も当然ながらいろいろ冷や汗をかくこともあったでしょうが、とにかくFX初心者にありがちな損切りしないという戦略がものの見事にはまっていたわけです。

前述したように、当時はレバレッジの規制もなかったでしょうから

  1. ハイレバでとにかく円を売ってドルを買う
  2. 逆にいけば損切りせずに放置

この単純なやり方で億万長者になれた時代だったと言えます。

ちなみに、2007年のサブプライムローンショックにより、この円キャリートレードを行っていた投資家はその後大損失を被ることになります。

以下の画像を見ても、その後、2012年ごろまで怒涛の円高トレンドが続くことになり、多くの「損切りしない」という戦略で円を売っていた投資家たちは、強制ロスカットの憂き目にあうからです。

2007-2012dolleryen

米国第4位の規模を持ち、世界経済の中枢とも言われていた巨大証券会社「リーマン・ブラザーズ」もその後破産したわけですから、素人同然の初心者トレーダーの被害も相当なものだったと想像できます。

池辺雪子さんの今

池辺雪子さんは、かつて8億円もFXで稼いでいたトレーダーです。

しかし、今現在は、FX取引はもうほとんど行っていないそうで、セミナーや講演が中心のビジネススタイルのようです。

  1. 以前は億単位の利益を上げる億トレーダー
  2. 現在はFXを引退

この2点から、ある事実が浮き彫りになるように思います。

つまり、池辺雪子さんが特別優れたトレーダーだったわけではない、ということです。

要するに、単なるラッキーパンチ。

  1. 円を売っていれば儲かる地合いだった
  2. レバレッジ規制がなく一攫千金が可能だった

この2つが重なったことで、普通の主婦である池辺雪子さんでも運よくFXで大儲けできた、と考えることができます。

勿論、池辺雪子さんを侮辱するつもりはありません。もしかするとすごい投資家なのかもしれません。
その可能性を全否定するつもりは毛頭ありません。

しかし、考えてもみてください。

投資は資金があればあるほど有利です。
投資金1000万を1億円にするのと、1億円を10億円にするのは同じ難易度です。

ですから、池辺雪子さんが本当にすごい投資家なら、以前よりも資金が膨らんでいる今のほうあもっともっと稼げるはず。

実際に株式投資で100億円以上の資産を築き上げたBNF氏は、以下のように右肩上がりでどんどん資産を増やしています。

2000年10月164万円
2000年末280万円
2001年末6100万円
2002年末9600万円
2003年末2億7000万円
2004年末11億5000万円
2005年末80億円
2006年末157億円
2007年末185億円
2008年末218億円

でも、ミスター・ワタナベこと池辺さんは今はそれほどFXで稼いでいないそうです。
それは何故か。

理由は二つ考えられます。

  1. 以前と違ってFXで儲けるのが難しくなった
  2. セミナーや本書いてるほうが儲かる

勿論、後者の理由もあるのでしょう。

例えば、1人10万円の高額セミナーで3ヵ月に一度、100人集客できれば、それだけで10万×100人×年4回=4千万の年収です。
年4回ではなく、もっと回数を増やせば、あるいは100人ではなく200人、300人と集客できるなら、年収億を軽く超えるでしょう。
しかも、それに執筆した書籍の印税も加わり、それらがほぼノーリスクで手にはいるわけですから、わざわざリスクを冒してFXを続ける意味はあまりないのかもしれません。

ただ、先ほどのBNF氏のように、FXの世界でも、まるで息をするように億単位で資産を増やし続けているような投資家も少なくありません。そう考えると、少なくともそういった敏腕トレーダーと比べれば、セミナーや印税収入に頼っている池辺雪子さんは、あまりレベルの高くない投資家だと言わざるを得ないような気がします。

FXは稼ぎにくい時代に突入?

というわけで、池辺雪子さんのように億万長者になりたくてFXを始めようかなと考えている主婦の皆さん。
甘い考えは捨て去ってください(笑)。

円キャリートレードが崩壊した今、FXで勝つためには新たな戦略を構築する必要があり、それができた人しか勝てない時代になっています。

また、レバレッジ規制が入った現在、破産覚悟のギャンブルトレードで上手くいったら億万長者、なんてこともできないようになってしまいました。

勿論、専業主婦がFXで比較的成功しやすい立場にあることに変わりはありませんが、勝ち負けは当然、個人の優劣で決まります。

主婦の皆さんが全員FX勝ち組になれる、なんてことは言うまでもなく絶対にありません。

次の稼ぎやすい時代はいつ?

ちなみに先ほどの2007年以降のドル円相場の画像の続き。

2012-2016dolleryen

実は、2012年後半ごろから再びドル円は上昇トレンドを描いていることがわかると思います。

しかし、この間、FXで「普通の主婦が億万長者になった」というようなニュースはあまり耳にしません。

最大の理由はレバレッジ規制。
このおかげでFXで人生一発逆転はほぼ不可能になったように思います。
これが「知識も経験もなんの戦略も持たない」素人トレーダーのラッキーパンチが当たらなくなった一番の理由です。

ただし、稼ぎやすいかどうか、で言えば、2012年から2015年末ごろまでの円安トレンドは、円キャリートレード全盛の時代以上にトレンドが明確でした。

だから、億単位とはいかないかもしれませんが、この間に大きく資産を増やすことに成功した投資家はかなりの数いることでしょう。
ただ、2013年から2015年の間が稼ぎやすかった、というのはあくまで結果論。その時は「今が稼ぎやすい時期である」とは誰もおもってはいなかったと思います。

そういう意味では、チャンスはどこにでも転がっている、とは思います。

もしかすると、数年後から見ると、今はものすごいチャンス相場。
そういう可能性もあり得るでしょう。

ただし、繰り返し強調しますが、レバレッジ規制によりFXはハイリスクな金融商品ではなくなりましたので、以前のような一攫千金はまず無理、と言えます(不可能ではありませんが)。

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