トラリピ決済トレールの有利性をバックテストで検証!
トラリピ決済トレールとは、マネースクエアの自動売買サービス「トラリピ」の付加機能の一つで、従来のトラップリピートイフダン注文にトレール注文機能を付加したものです。
主に上昇(下降)トレンドが発生している際に設定することで、従来のトラリピの弱点だったトレンド発生時の利益の最大化を図ることが可能になります。
目次
従来のトラリピと決済トレールの違い
従来のトラリピでは例えば
110.50円で買って111.00円で売る
111.00円で買って111.50円で売る
111.50円で買って112.00円で売る
といった具合にトラップ注文を出しておけば、相場がレンジ相場の間は勝手にリピートしてくれました。
レンジ相場では何度も利食いができ、しかも、自動で売買してくれるため、相場が行ったり来たりの状態の場合、らくに利益を上げることが可能、というのがトラリピの最大の利点でしたね。
しかし、いったん上昇トレンドが発生すると、利益の取り損ないが発生してしまい、レンジ相場程の旨味はなく、少なくとも利益の最大化、というわけにはいきませんでした。
110.50円で買って111.00円で売る
このポジションは、この後どんなに相場が上昇しようとも、利益は50pipsで、それ以上にはなりませんからね。
そこで登場したのが決済トレールという機能です。
これを設定しておけば、決済価格がレートに合わせて、トレールされるため、上記のような利益の取り損ないが起こりません。
そしていずれトレンドが反転しレートが決済価格を下回った時、はじめて利益確定の成行注文が行われることになるわけです。
結果、トレンドの天井付近で利益を確定することができ、いわゆる「利益の最大化」を図ることが可能になります(ちなみにトレール(trail)には後を追いかける、という意味があります)。
決済トレール設定のやり方
決済トレールの設定のやり方は簡単です。
従来のトラリピにトリガー価格を設定するだけ。
トリガー価格とは?
トリガー価格とは、決済価格が移動するきっかけとなる価格のことで単にトリガーとも呼びます。
トラリピ決済トレールではトリガー価格は決済価格から20pipsごとに自動で設定される仕組みになっています。
トリガー価格を設定すると、最初に設定した決済価格では利食いが行われず、それよりも+20pips上にレートが到達してから、初めて決済注文が通ることになります。
繰り返しますが、トリガーが自動的に設置される間隔は0.20円(20pips)。
相場が上昇すれば上昇するほど、決済価格も20pipsずつ上昇(売りの場合は勿論逆です)。
そして、上記で述べたように、相場が反転した時点で成行での利食い決済が行われます。
ちなみにこのトリガー設置間隔である20pipsはトレール幅とも呼び、香港ドル/円・南アフリカランド/円・トルコリラ/円の場合は±0.10円ごと、対ドル通貨の場合は、他のクロス円通貨同様に、20pips(±0.0020ドル)ごとになります。
まとめると、トラリピ決済トレールのイメージ図は次のようになります。
トラリピ決済トレールでどのくらい収益が伸びるのか
トラリピ決済トレールは、従来のトラリピの弱点であったトレンド相場での収益極大化の手段、と前述しましたが、マネースクエアの公式ホームページにおけるバックテストによると、やはりトレンド相場では決済トレールは強力な武器となり得るようです。
まず以下の図は、きれいな上昇トレンドを描いていた2014年10月21日から2014年11月20日までの1ヵ月間におけるドル円のチャートです。
この間のバックテストの結果として、収益力は約2倍にまで膨れ上がっています。
同様の期間における他の通貨ペアでのバックテストでもユーロ円は201.0%、豪ドル円は218.4%、NZドル円は197.7%収益力が上がっていることが確認できます。
このようにやはりトレンドが発生している相場では、通常のトラリピよりも決済トレールのほうが収益力がかなり上がる場合が多いようです。
レンジ相場では状況次第
ではレンジ相場ではどうか、というと、実は通常のトラリピのほうが良いのでは?と筆者は思っていたのですが、公式サイト掲載のバックテスト結果によると必ずしもそういうわけではなさそうです。
例えば、以下は2014年11月24日から2014年12月23日の1ヵ月間におけるドル円のチャートで、90円から94円までのいわゆるレンジ相場と言えます。
この間、通常のトラリピと決済トレールの収益比較をしてみると、なんと決済トレールのほうが若干収益が良かったことがバックテストにより確認されています。
ただし、先ほどの上昇トレンド発生時のように明確な有利性はなく、ユーロ円、豪ドル円の場合に至っては、逆に収益力が落ち、通常のトラリピに軍配が上がることが確認できます(NZドル円では、ドル円同様決済トレールの勝ち)。
以下の図はドル円と同じ期間(2014年11月24日から2014年12月23日の1ヵ月間)におけるユーロ円でのバックテストの結果ですが、決済トレールなしのほうが良い成績を収めています。
結論:決済トレールは相場の見極めが大事!
勿論、上記のバックテストの結果は、調査する期間、取引通貨ペア、トラップ間隔などの設定を変えれば、また違った結果になるでしょうから、一概には言えないのかもしれませんが、バックテストの結果だけを見ると
- トレンド相場:決済トレールありが有利
- レンジ相場:どちらとも言えない
ということになります。
巷では、リピート回数が減って利食いの回数が減るのだから、決済トレールは利益向上には繋がらない、全くもって必要のない機能である
といった論調が時折見られます。
確かに決済トレールはバックテストを見ても明らかですが、決済トレールなしの場合に比べ確実にリピート回数が減っています。
しかし、収益力が低下しているかと言えば、1回当たりの利食い幅が広くなっていることもあって必ずしも利益低下には繋がっていないことが確認されました。
寧ろ、トレンド相場なら、決済トレールなしの場合よりも明らかに有利と言えるでしょう。
ただ、上記のバックテストのように、トレンド相場で決済トレールが有利と言えるのは
しっかりとトレンド発生を見極め、トレンド終焉とともに決済トレールを停止
した場合であることには注意が必要でしょう。
要するに決済トレールで収益力を向上させるには、トレンドなのかレンジなのか、あるいはトレンド継続なのか終焉なのかをしっかりと見極める必要があることになります。
言い換えれば、相場の見極めができなければ、巷で言われているように、あまり意味のないものになってしまいそうです(それほどマイナスにはならなさそうですが)。
そういう意味では初心者向けではない、と言えるのかもしれません。
決済トレールありとなし、両方選べるのはマネースクエアだけ
ちなみに、この決済トレールという機能、つい先日疑似サービスがリリースされました。
現在のところ、このトレール機能のついたトラリピができるのはマネースクエアとマネックス証券「FXPLUS」だけ、ということになりますが、マネックス証券「FXPLUS」の場合は、トレール機能なしの通常のトラリピができません。
相場に応じてトレールありとなしを使い分ける、といったことができるのは現在のところ、マネースクエアだけのようですね。
もし、決済トレールありのトラリピをやってみたいという人は、そういう意味で、今ならマネスクを選んでおいたほうが賢明のようです。
決済トレールありとなし。
どちらが収益力が上なのか。
結局のところ、いろいろ議論するより、実際に使ってみるのが一番です。
興味のある人はぜひ試してみてはいかがでしょうか(そしてできれば意見を聞かせてください)。
ちなみに筆者はこの決済トレールに可能性を感じているので、今のところは資金がまだまだ足りないのでしばらくは手動トレードメインで続けるつもりですが、十分な資金が用意できたら、一度試しに使ってみようかなと考えています。