トラリピの両建て絶対にやってはいけない理由
トラリピは、基本的にローリスク・ローリターンで、益回りは小さいものの、着実に安全に資産を増やしたい人のサービスだと思っていますし、多くのトラリピユーザーもそう思っているのではないでしょうか。
ただ、中には「トラリピで両建てをすれば、リピート回数が2倍になって利益が2倍になる」という人もいます。
実際、両建てトラリピははまれば破壊力は抜群ですが、そのリスクは想像以上に高く、初心者は安易に手を出さないほうが良いと思います。
トラリピ両建ての利点
トラリピ両建とは、買いて字のごとく、買いと売り、両方でトラリピを仕掛けるというものです。
ポジションが2倍になるため、必要証拠金が2倍になる、と考える人がいるかもしれませんが、実はマネースクエアの両建ての場合、Max方式といって、買いと売り(建玉と注文の合計)のうち、大きいほうしか証拠金が必要ない、というシステムになっています。
そのため、トラリピは実質レバレッジは50倍であるともいえ、証拠金が2倍必要ということはありません。
その上、レートがレンジ内で行ったり来たりを繰り返してくれれば、リピート回数は約2倍になることも期待でき、リスク管理さえしっかりしていれば、益回りは買いオンリーのトラリピよりもはるかに良くなる可能性があります。
- 実質レバレッジ50倍
- リピート(利益確定)回数が大幅に増える可能性大
トラリピ両建ての欠点
対して、トラリピ両建てのデメリットも3つ。
1つ目は売りスワップ。
FXでは買いと売りとでは、売りのほうがスワップが高くつきます。
トラリピは基本長期的な資産運用戦略用で、その場合、スワップ金利も馬鹿にはなりません。
寧ろ、トレーダーはスワップ金利のプラス分ですら当てにしたいわけですから、それが逆にマイナスになるのは、心理的に大きなストレスになりかねません。
2つ目のデメリットは、両建てトラリピの場合、ポジションをスクウェアにする際、必ずロスカットで終わる、という点です。
これはダブルリピートイフダンと同じですね。
ただし、想定レンジをその通貨ペアの過去10年の安値から高値に設定し、上抜けしても、下抜けしても、強制ロスカットにならないくらい証拠金を用意できるなら、いつか必ずやってくる「ロスカット」までに、何度もリピートの利益確定が発生すれば、損益トータルでプラスにすることは十分に可能です。
ただし、3つ目のデメリットには要注意。
3つ目のデメリットはレンジを抜けて2度と戻ってこない可能性が、通常のトラリピの2倍以上あるということ。
過去10年の最安値、最高値を更新することはあっても、そこから再びレンジ内に戻ってこない、ということは買いオンリーの場合、あまりないと思います。
何故なら、通常、トラリピはクロス円でやっている人が多いと思いますが、円はもう既にユーロやドルに対して過大評価されているので、下がる余地があまりないからです。
つまり、ドル円などの場合、これ以上下がる余地があまりなく、今後、最安値の約75円を大幅に割り込む可能性はあまりありませんが、上がる余地は十二分に残されていて今後「ドル円が200円台突入」なんて時代が来る可能性は、大いにあり得ます。
となると、損切りなしでトラリピ両建てをやるのは非常にリスクが高いと言わざるを得ません。
かといって損切りありだと、トラリピのメリットは全くと言っていいほど生かされません。
要するに「リターンも2倍でリスクも2倍」ではなくリスクは2倍を大きく上回ると言っても過言ではないわけです。
勿論、これは過去の最安値と最高値をレンジの両端に設定した場合で、もっとレンジを狭めれば「リターンもリスクも2倍」にすることは可能ですが、単純にリターンを2倍にしたいならポジション数や取引枚数を2倍にすればいいわけであって、両建てにする必要性は、正直ないような気がします。
- マイナススワップが特に心理的なストレスに
- 最後は必ずロスカット
- 損切りなしでの運用はリスクが高い
想定レンジをぴたりと言い当てることができれば両建てトラリピは確かに破壊力抜群ですが、それができれば、苦労はしません。
レバレッジを最大にして「底で売って天井で買う、天井で売って底で買う」と繰り返せばよいだけです。
が、それができないから、私たちはトラリピをやるわけですよね?
そう考えるとトラリピの両建ては少なくとも自信のない人は絶対にやってはいけないとすら言えるのではないでしょうか。