相対取引はFX業界の不正の噂の温床
相対取引とは、FX業者とトレーダーとの間で直接売買が行われるシステムのことです。
取引所FXであるくりっく365と違い、店頭FXでは、基本的に相対取引であるがゆえに、投資家の損失を、そのままFX業者の利益にしてしまうことが可能です(呑み行為)。
そのため、今も昔も店頭FX業者の不正に関する噂が絶えません。
相対取引とは?
わからない人のために、ここで相対取引について簡単に説明しておきます。
相対取引を理解するためには、まず取引所取引について説明することが一番わかりやすいので、まずそちらから説明します。
取引所取引とは、株式投資などで行われているシステムです。
例えば、あなたが100万円でA社の株を購入したい、と考えます。
証券会社は取引所を通じて、A社の株(100万円分)を売りたい、と思っているBという人の注文とあなたの注文をリンクします。
証券取引所と証券会社が買いオーダーと売りオーダーの間に立ち、手数料が500円くらい発生します。
あなたの収支:-(100万円+500円)=-100万500円
Bさんが収支:+100万円-500円=95万9千500円
証券会社の収支:500円×2=1000円
実際には証券会社も株式取引所に手数料を払っているのですが、ここでは、それは置いといて、とにかく、あなたとBさん、証券会社の収支内訳は以上のようになります。
要するに取引所や証券会社は間に入っているだけで、主なお金のやり取りは投資家と投資家の間で行われます。
この後、A社の株価が上がり、その時に売れば、あなたは利益が得られますが、Bさんは「もうちょっと売るのを待てばよかった」と思うでしょう。
逆にA社の株価が下がれば、あなたは損を出すことになります。
つまり、投資家の利益は、他の誰か(投資家)の損失とイコールであり、証券会社は誰がどのくらい儲かろうが、反対に損しようが、基本的に関係ありません。常に手数料だけが証券会社の利益であり、投資家の損益との間に関連性はありません。
これが取引所取引の特徴です。
しかし、相対取引では、例えば、あなたがドル円を100万円分購入した考えた場合、以下のようになります。
あなたの収支:-100万円
FX業者の収支:+100万円
仮にこの後、ドル円のレートが上がり、あなたがドル円を110万円で売ることができれば、あなたは10万円の利益を得られますが、FX業者は10万円の損失になります。
つまり、投資家が損をすれば損をするほど、FX業者は儲かり、投資家が利益を上げれば上げるほど、FX業者は損をする(都合が悪い)、という仕組みになりうるということです。
わかりやすくいうと、これが投資家とFX業者が1対1で取引する、という意味です。
FXは8割以上の人が負け組
ここで問題となってくるのは、FXにしろ株にしろ、投資の世界は、ほとんどの人が負け組だということです。
多くの投資家が損失を出しているわけで、投資家の損失=FX業者の利益とすれば、FX業者はさぞぼろ儲けのはず……といいたいところですが、実はそうはうまくいきません。
というのも、勝っているトレーダーは割合としては少ないものの、その利益は負け組の損失の何十倍、何百倍にもなると言われているからです。
- 100人中80人の負け組トレーダーの平均損失が-100万円
FX業者の利益は80×100万円=8000万円 - 100人中20人の勝ち組トレーダーの平均利益が1000万
FX業者の損失は20×1000万=2億円
こうなると、FX業者の収支は大幅にマイナスです。一部の勝ち組が勝ちまくるがゆえに、FX業者は損をしてしまうことになります。
というわけで、FX業者も、マリーやカバーを行い、スプレッド=手数料分の利益を得ることを考えます。
- 投資家の損益=インターバンクに参加しているどこかの銀行の損益
- FX業者はスプレッド(手数料)分の利益だけを得る
上記のような株式投資の証券会社と同様の仕組みにすることで(顧客のオーダーをインターバンク市場に取り次ぐことで)リスクヘッジを図ると同時に投資家とFX業者の利益が相反する、という相対取引の問題点を解消しているわけです。
FX業者は本当に不正を行っていないの?
実際には、FX業者はマリーやカバー取引を行うことで利益をあげている、とされています。
つまり「私たちと皆さんの利益は相反してません。不正なんかしなくても私たちは利益は出せてますから安心してね」というのがFX業者の言い分というわけです。
が、言うまでもなく本当のところは業者の中の人でないとわかりません。
というより、実はマリーを行っていることも、FX業者は言及していません。
ただ、あくまで外部の人間たちの想像として、マリー等の呑み行為を行っているのだろう、と噂されているだけです。
インターバンクのスプレッドよりも、FX業者の提示するスプレッドのほうが狭いわけで、カバーしきれるはずもありませんからね。
実際はFX業者がどうやって利益を上げているのかは公にはされていないのが現実です。
そのためにいろいろな黒い噂が、FX業界には蔓延する原因になっているわけです。
- あまり勝ちすぎると口座を凍結される
- 投資家にとって不利なスリッページを故意に発生させている
- ストップ狩りなどのレート操作を行っている
顧客のオーダーをそのまま呑むだけでは、FX業者は利益が出ないことは先ほど言ったとおりです。
100人中80人の負け組トレーダーの平均損失が-100万円:FX業者の利益は80×100万円=8000万円
100人中10人の勝ち組トレーダーの平均利益が1000万:FX業者の損失は20×1000万=2億円
だから、FX業者はいろいろ工夫して利益を出しているのですが、少なくともやろうと思えば、下のようなことも可能なわけです。
- 勝ち組トレーダーを追い出す
- 利益を上げにくくして負け組トレーダーの割合を増やす
勿論、実際は、このようなことがあからさまに行われることはありません。
ただ、この10年くらい、いろいろなFX業者が金融庁から注意を受けて、FX業界から淘汰されてきたのも事実で、それなりにグレーなことをやっている業者もあったのでしょう。
今は金融庁から厳しくチェックを受けているようですが、それでも金融庁が全てを管理できるはずがないことは明らかですから、もしかすると、今も、一部のFX業者は、グレーなことをやっている可能性はあります。
- 店頭FXの相対取引は不透明な部分が多い
- そのせいで黒い噂が絶えない
投資の世界は8割以上が負け組ですから、特にFXで負けた後に、こういったFX業界の不透明性を知った人は、どうしてもFX業者のせいにしたくなります。疑いたくなります。
だから、上のような悪評でネット上は溢れかえっています。要するに逆恨みですね。
で、問題は「本当にFX業者はうえのような行為を行ってるの?」という点ですが、個人的な感想ですが、実際に行っている業者もある、と思っています。いえ、多かれ少なかれ、ほぼ全ての店頭FX業者が、スリッページやレート操作を行っていると思っています。
ただ、スリッページやレート操作ですが、実はこれ、不正でもなんでもありません。インターバンクでの銀行間取引でも昔からある程度行われてきた、いわゆる為替の世界の悪しき慣習みたいなもののようです。
株式投資もいろいろと昔から黒い噂が絶えませんが、FX業界も同じで、やはりお金が絡むと、悪いことをしようとする人が現れるもので、これは仕方のないことなのかもしれませんが。
そういう意味で、スリッページやレート操作について、私自身は受け入れています。
おそらく、他の多くのFXトレーダーも受け入れているのでしょう(でなければFXなんてやってられませんよね)。
ただし、受け入れている、といっても、ある程度までであり、限度を越した場合は別です。
限度を超えていると判断した場合は、勿論、口座の乗り換えを検討しますし、今までも、何回か口座の移動を行ってきました。
投資家にとって、少しでも有利な条件でトレードをさせてくれるFX業者を探す。
これも勝てるFXトレーダーになるためには欠かせない要素と言えます。
これからFXを始めようという人は、FX業界の黒い噂のことも頭に入れたうえで、少しでも信頼できるFX業者で口座を開設するのが吉です。