レートずらしで利鞘を稼ぐFX業者
レートずらしって聞いたことありますか?
FX業者が行っていると噂されるグレーな手法としてはストップ狩りやスリッページが有名ですが、その他にもあまり知られていない方法が多々あります。
レートずらしという手法も、少しせこいやり方ではありますが、人気があり、取引高の多いFX業者がやると、その効果はバカにはできません。
レートずらしとは?
レートずらしは、レート操作の一種で、簡単に説明すると、ほんの少し、顧客に提示するレートを、インターバンクのレートとずらすことです。スプレッドを広げるやり方とは違い、スプレッドはそのままです。
例えば、ドル円が上昇基調にある場合は以下のようにずらします。
- インターバンクのレート:Ask100,50 Bid100、51
- 私たちに提示されるレート:Ask100,52 Bid100,53
スプレッドは1銭のままで、レートをそのままずらすわけです。
仮に私たちがドル円を、業者の提示しているBid(100,53)で購入したとします。
その場合、業者は100,53円でドル円を売っている状態になります。つまりドル円100,53円のショートポジションを、私たちが買い発注したのと同時に、FX業者が持つことになります。
そして、次に、というか、私たちが買いオーダーを入れたのとほぼ同時に、FX業者はインターバンクで同じように買いオーダーを出します。
この一連の流れをほぼノータイムで行うことができれば、インターバンクのレートはBidが100,51円のままですから、当然、100,53で売ったポジションを100,51で買い戻すことができます。
こうすることで、実に簡単に利鞘を稼ぐことができる、といわけです。
レートずらしをやっている業者を確かめる方法
レートずらしはストップ狩りなどと同様に単なる噂であり、都市伝説のレベルです。
でも、仕組みは簡単なので、やろうと思えばできますよね?
何しろ相対取引では、私たちに配信するレートはFX業者各自が自由に決めることができる決まりになっています。
というより、インターバンクに参加している銀行も、それぞれ独自のレートを配信しています。
つまり、為替取引の世界には、全ての市場参加者にとっての唯一絶対の決まったレートというのはもともと存在しないわけで、比較対象がない以上は確かめようがありませんし、仮にインターバンクのレートと業者のレートが違っていても、それはルール違反でもなんでもありません。
ただ、もしこういった手法でFX業者が簡単に儲かるのだとすれば、気分的にはもやもやしてしまいますが。
レートずらしは都市伝説
レートずらしがストップ狩りやスリッページなどに比べてあまり話題にならないのは、基本的にこれが私たちの損失に繋がらないことにあります。
スプレッドが広がるわけではなく、単に上下どちらかにずれているだけですから、上の場合だと、決済の時は、インターバンクのレートより高値で売れる、つまり有利な価格で決済できるわけですから、プラスマイナスでイーブンです。
それに個人投資家の最低取引枚数とインターバンクの最低取引枚数は全く違いますので、上記のようなカバー取引は事実上不可能だとも思われます。
個人トレーダーの最低取引枚数:1万通貨(または1000通貨)
インターバンクの最低取引枚数:100万通貨
これだけ違うと完全にカバーするには、個人投資家のポジションが貯まるまでに時間がかかるため、ノータイムで、というわけにはいきませんから、上記のように数pipsずらすだけでは、あまり効果は薄い様に思います。
寧ろ、ごちゃごちゃしてややこしいことになるだけのように思います。
また、上昇トレンドの時に、必ずしもすべての投資家が順張りするとは限りません。逆張りで売ってくる人もいます。
そう考えると、常にずらしておく、というわけにはいかないので、ずらすタイミングを計る必要性にも迫られます。
数pipsだけでなく、10pips以上ずらせば、他社のレートと比べられて一目瞭然ですしね。
これら一連の問題点を加味しながら、システムがうまく利益が出るように最適化している可能性もありますが、その場合でも、やはり私たちに損がない以上は、個人的には特に何も言うことはありません。
ただ、こういったやろうと思えばできるかもしれないことがFX業界には多すぎると思います。
そのせいで、いろいろと悪い噂がたつわけですし、こちらも、疑心暗鬼のままで取引しなければなりません。
くりっく365が手数料の面でもシステム面でも、多くの為替トレーダーが安心して使えるレベルにまで発展してくれればいいのですが、今のところ寧ろ衰退しつつあるような気がするので(笑)、もやもや感を抱きつつも今しばらくは店頭FX業者を利用しようと思います。