スワップポイントだけで生活するのに必要な資金を計算
FXのスワップ金利や株の配当だけで生活できたら、というのは、誰もが一度は考えることかもしれません。
FXの場合、スワップポイントは何もしなくても毎日入ってきますし、言ってしまえば不労所得ですから、もしスワップだけで生計をたてることができれば、経済的自由を手に入れたも同然です。
しかし、現実はやはり甘くはありません。
比較的経済が安定している先進国通貨の金利は微々たるものですし、かと言えって、新興国への投資はかなりリスクが高いです。
筆者はFX歴10年ですが、少なくとも高金利国へのスワップ投資で成功しているという人の存在を見たことも聞いたこともありません。
スワップ投資で月20万稼ぐのに必要な投資金はどれくらい?
仮に1人の人間が生計をたてるのに必要な毎月の収入を20万円とします。
月20万のスワップ収入を得るためには、どれくらいの投資金が必要だと思いますか?
豪ドル円、NZドル円、トルコリラ円、南アフリカランド円の4通貨ペアの場合、それぞれスワップポイント最高値の業者で1万通貨ポジションを持ったとすると
- 豪ドル円:1日50円(ヒロセ通商)→月1500円
- NZドル円:1日60円(ヒロセ通商)→月1800円
- トルコリラ円:1日105円(GMOクリック証券「FXネオ」)→月3150円
- 南アフリカランド円:1日17円(GMOクリック証券「FXネオ」)→月510円
およそ上記くらいスワップポイントが貰えます。
月20万円のスワップ収入と得るためには豪ドル円の場合、20万円÷1500円=約134万通貨必要。
同様の計算でNZドル円も112万通貨、トルコリラ円は64万通貨、南アフリカランド円は392万通貨となります。
豪ドル円のレートが85円とすると、豪ドル円では月20万のスワップ収入を得るためには85万円×134万通貨=1億1390万円必要なことになります。
同様にそれぞれのレートをNZドル円80円、トルコリラ円30円、南アフリカランド円8.5円と仮定すると、それぞれ月20円のスワップ収入を得るためには、NZドル円は80円×112万通貨=8960万円、トルコリラ円は30円×64万通貨=1920万円、南アフリカランド円は8.5円×392万通貨=3332万円必要という計算になります。
年利に換算するとそれぞれ以下の結果に。
豪ドル円:2.1%
NZドル円:2.7%
トルコリラ円:12.6%
南アフリカランド円:7.2%
まとめて表にすると以下のようになります。
月20万得るために必要な投資金(概算) | 年利(概算) | |
---|---|---|
豪ドル円 | 1億1390万円 | 2.1% |
NZドル円 | 8960万円 | 2.7% |
トルコリラ円 | 1920万円 | 12.6% |
南アフリカランド円 | 3332万円 | 7.6% |
勿論、上の表はレバレッジ1倍で計算した場合であり、レバレッジ3倍なら年利は3倍、必要な資金も3分の1で済みますから、トルコリラ円なんかはレバレッジ3倍なら年利36%、必要な投資金は600万から700万くらいで月20万円の不労所得を得ることが可能です。
そう考えると、非常に美味しいように感じますが、この計算ではトルコリラ円64万通貨のロングポジション保有を前提としていることは忘れてはなりません。
つまり、トルコリラ円のレートが1円円高に振れるだけで₋64万円の為替差損が発生するということです。
3円円高に振れれば、ほぼ1年間のスワップ収入は0どころかマイナスになる可能性もあります。
スワップサヤ取りで月20万稼ぐのに必要な投資金はどれくらい?
どんなにスワップ金利が高くても、新興国の通貨は為替差損による損失リスクが高いため、スワップ投資はあまり得策とは言えません。
では、為替変動リスクをほぼ0にすることにできるスワップサヤ取りならどうでしょうか。
同じようにつき20万のスワップ収入を得るためにどれくらいの資金が必要か、で計算してみます。
まずもらえるスワップポイントは
- 豪ドル円:ヒロセ通商(買い50円)₋DMMFX(売り27円)で1日23円、1ヵ月(30日)で690円
- NZドル円:ヒロセ通商(買い60円)₋YJFX(売り37円)で1日23円、1ヵ月(30日)で690円
- トルコリラ円:GMOクリック証券「FXネオ」(買い105円)₋インヴァスト証券(売り72円)で1日31円、1ヵ月で930円
- 南アフリカランド円:GMOクリック証券「FXネオ」(買い17円)₋DMMFX(売り12円)で1日5円、1ヵ月で150円
上記は1万通貨での運用なので、月20万稼ぐためにはそれぞれ
豪ドル円:20万÷690円=289万通貨
NZドル円:20万÷690円=289万通貨
トルコリラ円:20万÷930円=215万通貨
南アフリカ円:20万÷150円=1333万通貨
必要資金は
豪ドル円:289万通貨×85円×2(両建て)=約4億9000万円
NZドル円:289万通貨×80円×2=約4億6000万円
トルコリラ円:215万通貨×30円×2=約1億3000万円
南アフリカ円:1333万通貨×8.5円×2=約2億3000円
という結果に。
しかし、スワップ鞘取りは、為替変動によるリスクはほぼ0なので、レバレッジ10倍程度の運用も可能。
レバレッジ10倍で計算すると以下の表のようになります。
月20万稼ぐのに必要なお金(レバレッジ10倍) | 年利(レバレッジ10倍) | |
---|---|---|
豪ドル円 | 4900万程度 | 4.8%相当 |
NZドル円 | 4600万程度 | 5.2%相当 |
トルコリラ円 | 1300万程度 | 18.5%相当 |
南アフリカランド円 | 2300万程度 | 11%相当 |
結論:スワップ投資だけで食べていくのはかなりの投資金が必要
というわけで、スワップ投資だけで月20万の収入を得るためには、トルコリラへの投資(スワップ鞘取りレバレッジ10倍)なら1300万以上の投資金があれば可能である、という計算になりましたが、以上の計算は各FX業者のスワップポイントが固定されているという前提でのものです。
が、言うまでもなく、実際はスワップポイントは日々変動します(各FX業者の公式サイトを参照)。
例えば上の例だと、トルコリラ円の場合、GMOクリック証券「FXネオ」の買いスワップが10円安くなり、インヴァスト証券の売りスワップが10円高くなるだけでも、スワップ鞘取りはほぼ機能しなくなります。
また、スワップ鞘取りは両建てなので為替変動が起こった際に、買い口座か売り口座、どちらかの口座で含み損が拡大すると、追証が発生する可能性があります。なので、相場状況と取引口座の証拠金維持率を常にチェック、また資金移動をスムーズにできるよう、銀行口座にも資金を準備しておく必要があり、場合によってはたびたび両建てを解消し、新たにポジションを作り直す必要に迫られます。
しかもトルコリラや南アフリカランドの場合破産リスクが0とは言えません。
理論上スワップ鞘取りが為替変動リスクなしとはいえ、そういった新興国の通貨に1000万以上投資するのはちょっと怖い気もします。
以上、いろいろ考えてみた結果、やはりFXのスワップ投資だけで月20万稼ぐのは相当な投資金が必要であり、リスクとリターンを天秤にかけると、ほとんどの人にとってそうとう無理がある、と言わざるを得ないのではないでしょうか。
月20万ではなく月2万なら、難易度、必要資金ともに10分の1でよいので、十分可能だとは思うのですが、少なくともやはりスワップ投資だけで生活していくとなると、相当な投資金が必要なことは間違いなさそうですね。