原油CFDの魅力~WTI原油先物との違いを比較
私たちの生活に欠かすことのできない貴重な資源である原油。
原油は資源としだけではなく、投資(マネーゲーム)の対象としても、多くの投資家に人気があります。
現在、原油に投資するにはWTI原油先物と、WTI原油先物を参照原資産とするCFD取引、この2つがメインとなっています。
今回はこれから原油投資を始めるならWTI原油先物と原油CFDどちらが良いのか、いろいろと比較してみました。
目次
先物取引とCFDの違いって何?
WTIとはWest Texas Intermediateの略で、文字通り、米国のテキサス州やニューメキシコ州で産出される原油のことを指します。
この原油の先物がニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に原油先物として上場されており、これを一般的にWTI原油先物と呼びます。
CFDの価格はこの先物価格にいろいろな調整を加えて算出されていますが、そのため、基本的に両者の価格の動きにはほとんど差はありません。
以下、国内CFD取引シェアナンバー1のGMOクリック証券の原油CFDと国内某証券会社の先物の比較表です。
GMOクリック証券原油CFD | 某証券会社のWTI原油先物 | 国内先物A社 東京原油先物 |
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取引手数料 | 無料 | 約689円 | 約4000円 |
単位 | バレル | バレル | キロリットル |
必要証拠金 | 約3500円 | 約245,500円 | 約95,000円 |
取引単位 | CFD価格の10倍 | 先物価格の1,000倍 | 先物価格の50倍 |
レバレッジ | 20倍 | 約28.11倍 | 約22.6倍 |
CFDと先物は、似ているようで、上の表を見る限り、全く条件的には別の投資商品と考えて間違いありません。
取引コストやスプレッドはどっちがお得?
CFDは手数料無料ですが、別途スプレッドが発生するのはFXと同じです。
原油CFDの場合、スプレッドはGMOクリック証券で0.03pips、DMMドットコム証券で0.039pipsになります。
が、原油取引は0.01米ドルが1pipsです。FXのユーロ/米ドルは0.0001米ドルが1pipsなので、FXの感覚で言うならGMOクリック証券の原油CFDのスプレッドの場合で3pipsと考えてください(しかもFXと違って変動制)。
要するに1ドル100円とすると、0.01ドルは1円なので、日本円換算だとスプレッドは3円。
最低取引単位は10バレルからなので、取引コストは1枚あたり30円、ということになります。
対してWTI先物取引の取引コストは1000バレル(100枚)で約689円……だけでなく、実は先物にもスプレッドがあります(笑)。
しかも証券会社によってこのスプレッドもまちまち。しかもCFD同様に変動制で、時間帯によって違います。
要するに何がいいたいかと言うと……。
取引コストでどっちがお得かは、時間帯によって代わるため、一概には言えない、ということです。
FX(のドル円)に比べて取引コストが10倍以上高い、という点だけは間違いありません。
必要証拠金とレバレッジは?
CFDの場合、レバレッジは20倍で固定です。そして原油・ドルのレートは現在1バレル=70ドル前後。
最小取引単位は10枚で、1ドル100円とすると70ドル×10枚×100円=70000万円が最低必要ですが、レバレッジ20倍なので、最小必要証拠金は約3500円程度になります。
対して、WTI原油先物の必要証拠金の計算は証券会社によってまちまち。結構開きがありますが、最小取引単位1000枚で、レバレッジは30倍程度、必要証拠金は約25万程度になっています。
このことからも少額で取引できる分、CFDのほうが初心者向き、対してハイレバ&高額での取引なら先物のほうが向いているようです。
原油CFDはトラリピや無限ナンピン戦略と相性が良い?
原油CFDは、いろいろな面でトラリピや無限ナンピンなど「損切りしない戦法」と非常に相性が良いです。
理由は以下の4点です。
- 少額から取引可能
- ボラティリティが非常に高い
- 商品のため価値が0になる可能性がほぼない
- 値動きが読みやすい
特に上のチャートを見てもらえばわかりますが、2014年から2016年にかけて価格が3分の1になり、その後2年間で再度2倍以上になっています。
FXをやっている人ならわかると思いますが、為替はこんなに激しく動きません。
そういう意味では、FX(低コスト&少額)と仮想通貨(値動きが激しい)の中間的な投資商品だと言えるでしょう。
原油価格の変動要因はわかりやすい?
ちなみに、ここ原油価格の変動要因はいろいろありますが、主に以下の4点があげられます。
- 産油国の動向
- 国際情勢
- 世界景気
- 天候と季節性
産油国(主にアメリカ、ロシア、サウジアラビア、OPECなど)が原油の生産を増やせば価格は下がり、逆に控えれば価格はあがります。
また、国際情勢も、産油国(主に中東)における有事の際には原油価格は上昇する傾向があります。
世界景気においても、世界第一の原油消費国であるアメリカ、第2位の中国の景気が悪化すると、原油価格も下がる傾向にあります。
その他にもアメリカの油田地帯であるメキシコ湾沿岸がハリケーンによる被害を受けたりすると原油価格は上がります。
また、ドライブシーズンにはガソリンの需要が増加、冬場には暖房用の灯油の需要が増加するため、価格上昇の要因となります。
上がった時
・イラクのクェート進攻
・イラク戦争勃発
・ハリケーンカトリーナ襲来
下がった時
・逆オイルショック
・アジア通貨危機
・米国同時多発テロ
・リーマンショック
・米国がテーパリング開始
まとめ
以上まとめると、先物取引がややこしいというような人や、少額から初めてトラリピや無限ナンピンでの損切りしない戦法で資金運用を考えるならCFDのほうがおススメだと思います。逆に大きく値が動いた時にハイレバで一攫千金を狙うような場合は先物のほうが良いでしょう。
いずれにしても原油は値動きが激しく、近年は投資マネーの流入も手伝って、ここ数年は何度かチャンス相場が訪れています。今後もこの傾向が続くかどうかは不明ですが、いざそういう時に押し目や戻りをとれるように、CFDにせよ先物にせよ、できれば、口座だけは開設しておいて損はないように思います。
補足:原油CFDの価格調整額とは?
CFDはFX同様、非常にシンプルで、初心者にもとっつきやすいのですが、唯一わかりにくいのが価格調整額に関するもの。
CFDは先物価格を参照して価格調整されています。
先物には取引期限が存在します。
例えば1月限月、2月限月と言った具合にです。
1月限月が終わると、2月限月の先物が直近の取引になるのですが、例えば原油先物で
1月限月:70ドル
2月限月:71ドル
だった場合。
先物の場合は1月限月と2月限月は、別の銘柄で、1月が終了すると1月限月物は取引終了になるので、何の問題もありませんが、CFDはシームレスに取引が続きますので、1月から2月に月が切り替わった途端、特に何の材料もないのに、原油CFD価格は70ドルから71ドルに上昇することになります。
この時、原油CFDのロングポジションを持っている投資家は原油価格1ドル分だけ得することになり、CFD業者は損することになります。
これを防ぐために、投資家の口座から価格調整額が差し引かれることになります(でないとCFD業者は大損)。
まあ、要するに価格調整額が投資家の口座から抜かれたり(時に貰えたり)するのは、CFD業者側からすると真っ当な主張であり、実質、投資家側には、なんの損得にもなりません。要するに無視してOKということです。