マイナンバーでFXの所得が会社にばれる?
平成28年1月より開始されたマイナンバー制度。
これにより、確定申告の際、会社にFXで副収入を得ていることがバレるのでは、と1部のサラリーマントレーダーが危惧しているようです。
結論を言うと、マイナンバーが導入されることで、FXの年間利益20万以下の人に限り、会社にばれる恐れがほんの少し高くなってしまっているので注意が必要です。
目次
マイナンバー制度の本来の目的
マイナンバーは「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤」とされていますが、建前はさておき(笑)、要するに本来の目的は国民の監視です。
具体的に言うと、悪い人が悪いことをした時に、しっかりと取り締まれるようにする、というのが根底にあります。
もっと具体的に言うと、例えば脱税。
これまでは10(トー)5(ゴー)3(サン)という言葉が示す通り、税務署が把握できる個人の所得は、会社員は10割、自営業は5割、農業や漁業従事者は3割、と言われてきました。
要するにサラリーマンの場合、税金が給与から天引きされ、一切誤魔化しが効かないのに対し、自営業者等は、うまくやれば脱税することも可能、という不公平がまかり通っていたことになります。
こういった不公平をなくすことがマイナンバーの掲げる「公平・公正な社会の実現」であり、マイナンバーの目的とするところ、と言えます。
つまり
これからはFXで得た収入を税務署に隠すことなんてできないよ!
ということです。
今まではFXで得た利益の100%を税務署がつかめていないこともあって、特に確定申告していない人も大勢いたようですが、今後は一切それができなくなります。
ばれる確率を最小限にする方法
サラリーマンやOLがFXをすると副業になるのかでも書きましたが、そもそもFXは副業に該当しません。
だから、仮に会社にばれたとしても問題がない場合のほうが多いのですが、頭の固い、旧態依然とした古い体質の会社などの場合は、いろいろと揉める可能性は否定できません。
なので、できるだけバレないようにしておいたほうが無難ではあります。
ということで、以下に、ほとんどの人が知っているとは思いますが、「会社にFXやってることを悟られないようにする」方法をまとめておいたのでぜひ参考にしてください。
FXをやっていることを会社にばれないようにする手順
1.まず第一に、会社の給料から引かれる所得税は年末調整にて勝手に源泉徴収されることになりますが、その時の源泉徴収表を年末あるいは翌月にもらえるので、それをもって近くの税務署に確定申告に行く(2月16日~3月15日の間)。
2.FXでの所得は、自分で確定申告することになるので、所定の用紙(ネットで作成可能)に必要事項を記載、プリントアウトして、一緒にもっていく
3.2で確定申告書類を作成する際、「住民税に関する事項」で「自分で納付」にチェック入れる。これにより、FXの利益分の住民税の支払い用紙は自宅に直接届くことになるので、会社にばれることがなくなります(自分で納付するにチェックを入れないと会社に届くことになるので、確実にばれます)。
以上が定番となっている「会社に副業FXがばれないようにする方法」です。
簡単ですね。
しかし、前述したようにここで問題点があります。
それは、最初に述べたように、マイナンバー制度の導入により、FXでの年間所得20万以下の人の場合、うっかりすると会社にばれてしまうかもしれない、ということです
何故、マイナンバーで会社にFXやってることがバレるのか
基本的に会社からの給料(給与所得)とFXの利益(先物取引に係る雑所得等)は合算されることはないので、何の問題はありません。
問題は住民税の支払い方法にあります。
バレる可能性が最も高いのは給与天引きの住民税
住民税の場合、普通徴収と源泉徴収、どちらか好きなほうを自分で選べるのですが、自分で確定申告にいって普通徴収での支払いを選択しない限り、源泉徴収として会社のほうに請求が行ってしまいます。
だから上で述べた手順のように自分で税務署に足を運ぶ必要があるのですが、問題はFXでの年間利益が20万未満だった場合です。
基本的に確定申告はFXの年間利益が20万を越えない限りする義務はありませんが、住民税(1律10%)は支払う必要があります。
マイナンバーが導入される前ならおそらく年間利益が20万以下の場合だと、確定申告に行かなければ、住民税も支払うことはなかったと思います。建前上は支払う必要があるのですが、支払わなくても税務署にばれる可能性は非常に少なかったと言えます。
しかし、前述したようにマイナンバー制度導入によって、例え年間利益が1万円というはした金であっても、税務署に100%知られることになります。
そしてほとんどの人は年間利益が20万以下の場合は確定申告にはいかないと思います。
するとどうなるか。
住民税の支払い請求は会社に行くことになります。
ここまで言うともうわかってもらえると思いますが、これがマイナンバー制度のあまり知られていない?弊害です。
- 今まで:年間20万以下なら確定申告不要
- これから:年間20万以下でも確定申告必要
ということになります。
勿論、20万以下の所得にかかる住民税は2万円以下なので経理の人がそれに気づくかどうかは微妙ですが、一応、マイナンバー制度導入により、こういった理由で会社にばれる可能性が少し高まっている、ことは知っておいて損はないと思います。
もっとも、自分で確定申告にいき普通徴収を選択しておけば、何の問題もないことは、これまでとなんら変わりはありませんし、FXには3年間の損失繰越制度があるので、例え20万以下の利益(あるいはマイナス)でも、確定申告するメリットはあります。
ちなみみ損失繰越制度とは
初年度マイナス100万円。
2年目マイナス10万円。
3年目プラス200万円。
となった時に、3年間合計(-100-10+200=90万)にしか税金がかからない制度。
儲かってもないのにいちいち確定申告するのは面倒ですが、絶対に会社にばれたくない、という場合は一応毎年確定申告はやっておいたほうが良さそうです。
ただ、上記の手順をきちんとやっていても、FXをやっていることは薄々周囲にはバレていると思います。
仲の良い同僚にFXでの体験をあれこれを話す人が多いと思うので、そこから噂が拡散していったりするのでしょう。
ちなみに筆者も副業でFXをやっているサラリーマンの1人ですが、噂では毎月100万円以上稼いでいることになっているようです(笑)。
就業規則では一応副業禁止と書かれていますが、会社の上司も皆見て見ぬふりをしてくれているようなので、結局、上記のようにばれないように手間暇をかける必要は一切ないのかもしれませんが、念には念を入れたい人の場合は、FXの損益に関わらず確定申告には毎年行っておいたほうが良いと言えます。
また、法人口座でトレードしていう場合、法人登記からもバレる可能性がありますので、要注意です。