FXにレンジ相場(ボックス相場)が多い理由

外国為替では、7割がレンジ(ボックス相場)だと言われています。
チャートを見てみると、月足チャートや年足チャートなどではそうでもないのですが、日足チャートや分足チャート、時間軸の短いチャートであればあるほど、トレンドが発生している時は、ほとんどなくて、ドル円のなどにいたっては、9割くらいが同じところをいったりきたりしている印象を受けます。

何故、短期的に見て相場の7割がレンジになるのか

短期的な視野でみるとで、何故、外国為替相場がボックス相場を作りやすいのか。

その理由は4つあります。

1つは為替市場が、世界中の投資家が参加する自由で巨大な市場だからです。

例えば、国内の個別株式などでは、取引に参加している人の数も、金額もそれほど大きくありません。
なので、資金の豊富な大口の投資家が大量の買いを発注すると、それにつられて、値が吊り上がります。
言うなれば、豊富な資金力を武器に、力づくでトレンドを発生させることが可能なわけです。

しかし、FXではそういうわけにはいきません。

為替の取引は、世界中の銀行間市場(インターバンク市場)において行われるのですが、投資家が行う利鞘、スワップ金利目的の取引の他に、実需の取引も存在します。

オーストラリアに海外旅行に行こうと思えば、事前に銀行などで円を豪ドルに両替(円売り、豪ドル買い)してからいきますよね?

また、日本の企業が、仮にアメリカで自動車を売って利益を上げた場合、その利益はドルなわけですから、利益を計上するためには、同じように銀行で日本円に両替する必要があります。

そういった事態に備えて、世界中の銀行は顧客のために常にある程度、世界中の主要国家の通貨を用意しておく必要があり、もし、とある通貨の残量が少なくなれば、その通貨が豊富に残っている他の銀行との間で、取引をしたりします。
こういった、銀行間での為替取引は、24時間、世界中の銀行で頻繁に行われており、投資目的以外でも行われるわけです。

勿論、こういった実需の取引は、投資(投機)目的の取引に比べると、圧倒的に小さなものなのですが、それでもこういった実需の取引があることで、銀行間取引は資金の流動性が途絶えることがなく、潤滑剤的な役割を果たすことにより、為替市場の活性化を生み出す源となっているわけです。

加えて急激な為替変動があった際には、各国政府による為替介入などもあったりします(日本は2008年から2012年までの間に5度円高の是正のための介入を行っています)。

こうやって、今日も、24時間、どこかで誰かが為替の取引をいろいろな理由で行っていて、その取引高の総額は、個別の株式取引などとは比べようもないくらい巨額なわけですから、如何に資金力豊富な大手の投資ファンドといえども、相場のコントロールは困難であり、また参加者が多いため市場のコンセンサスも生まれにくく、トレンドも発生しずらい。
また、仮にトレンドが発生しても、行き過ぎれば、国家規模での介入で抑えられる。

これでは、為替相場になかなかトレンドが発生しないというのも、うなずけるというものではないでしょうか。

海外の投資家は分散投資が普通

FXにレンジが多い理由の2つ目は、海外の投資家にとって、FXは利益をあげる為の手段の一つでしかない、ということです。

基本的に、FXでも株式投資でも、トレンドが発生している時のほうが、ボックス相場よりも儲かりやすい、とされています。

そして投資は何もFXだけではありません。
FXがレンジ相場を形成中なら、トレンドが発生している他の金融商品(例えば株や原油やゴールドなど)でトレードをしたほうが、儲かりやすいわけですから、無理にトレンドが明確でない為替相場を戦場に選ぶ必要はありません。

トレンドが発生している時だけFXやればいい。
そんなふうに多くの投資家は考えているものです。

FXは日本では個人投資家に非常に人気がありますが、これは実は日本特有のものです。

日本では、個人で投資できる金融商品といえば、株かFXくらいしか、ほとんどの人が知らないため、FXに人気が集中するのでしょう。

利益の得にくいレンジ相場だろうとなんだろうとお構いなしにFXに挑戦しつづけるのは、世界中でも日本の個人投資家くらいで、少なくとも海外の投資家はそういうわけでもない、ということは覚えておいてください。

話はそれましたが、とにかくそういうわけで、海外の投資家の多くは、レンジが続いている為替相場で、無理に利益を上げようとはせず、少額か、あるいは様子見に徹したりします。

そのため、レンジ相場を打破するために必要なエネルギーがなかなか生まれにくいわけです。

大手投資ファンドはレンジ相場のほうが都合がいい

3つ目の理由は、数百億、数兆円といった多額の資金を保有する大口のトレーダーにとって、ある意味、レンジ相場のほうが都合がいい場合が少なくありません。

例えば、FXでは低金利通貨を売って、高金利通貨を買えば、スワップ金利が得られます。
といっても、スワップ派に人気の豪ドル円ですら、最大で1日のスワップポイントは80銭程度。

100万円程度の投資金しかない個人投資家なら、レバレッジを10倍くらいに設定しても、80×レバレッジ10倍×30日=2万円4千円で、月2万4千円、年間30万以下のリターンしか得られません。
おそらくこの金額で満足する個人投資家はほとんどいないでしょう。

しかし、100億円以上投資資金がある大手のファンドならどうでしょうか。
同じくレバレッジ10倍なら、年間30億の利益が得られます(年利30%)。

年利20%程度がプロの為替ディーラーのノルマ、と言われていますが、とすれば、スワップ金利だけで彼らは十分、ノルマがこなせることになります。

そういう意味では、彼らのような大口のトレーダーにとっては、レンジ相場のほうがトレンド相場よりも安全にノルマをこなしやすいわけで、寧ろありがたい状況だと言えます。

長期的な視野でみると、為替相場もファンダメンタルズの通りになりやすいですが、短期的には、市場のコンセンサスに従う、とこれまで何度も書いてきましたが、市場のコンセンサスの中心にいるのは、言うまでもなく、メインプレーヤーである大口の投資ファンドなどです。

その彼らが「トレンド相場を望まない」わけで、時にトレンドが発生するのを妨害してくることもあります(オプションの防戦売りなど)。
こういった事情を鑑みれば、為替相場が、レンジを形成しやすいのは、ごく当たり前のことだと言えます。

レンジ相場になりやすい理由その4

4つ目は、これまでも何度も取り上げているように、FXには適正価格の計算方法がないからです。

ドル円やユーロドルのレートの適正価格がいくらか、というのは、誰にも答えられません。
それゆえに、例えば、「今後ドル円は50円くらいまで下がる」とか「いや、150円くらいまで上がる」など、専門家の間でも極端に意見が分かれることも少なくなく、これも市場のコンセンサスが生まれにくい原因になっています。

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