株価と為替レートの関係性
例えば、日本の株価が上がった場合、それは世界中の海外投資家が、大量に日本の株を買った結果であることが多いです。
・アメリカ人投資家が日本株を買おうと思えば、当然、銀行でドルと円を両替(ドル売り円買い)をする必要があるため、円高(ドル安)の要因になります。
・ドイツ人投資家が、日本株を買おうと思えば、同様の理屈で、ユーロ売り円買いをするため、円高ユーロ安の要因になります。
一般的にその国の株価が上がるということは、それは、その国の経済力が世界から評価されているのとほぼ同じですですから、当然、その国の通貨価値も上がる、と考えるのが普通です。
つまり、株価が上がる場合、同時にその国の通貨価値=為替レートも上がりやすいと考えるのが、常識的な考え方と言えます。
NYダウはドル円レートと連動している
NYダウとは、ダウジョーンズ社が算出する米国の株価平均型株価指数です。
通常、前述した考え方に基づき、NYダウとドル円の為替レートは、ここ2年間ほどの値動きには、結構な連動性があることが以下の図からもわかると思います。
NYダウが上昇するというのは、アメリカの経済状況が評価されてのことで、その場合、当然、ドルも買われやすくなるので、ドル高円安になるのは、当たり前と言えば当たり前です。
日経平均株価の場合は?
じゃあ、日本の代表的な株価平均型株価指数である日経平均株価の場合、ドル円との相関はどうなるのか。
こちらも図で表してみます。
なんと日経平均株価も、ドル円や、特にNYダウとほぼシンクロしていることがわかります。
要するに円安ドル高=日経平均株価高であり、最初に述べた「その国の通貨高と株価高は同時に起こる」という現象とは全く逆のことが起こっていることになります。
日本は特殊な国
この理由は、よくニュース等で聞いたことがあるとは思いますが、日本には自動車や電化製品などをアメリカに売って利益を得ている、トヨタ自動車やソニーなど、いわゆる輸出企業が多く、そういった輸出企業が、日本経済を支えているからです。
円安ドル高になる→アメリカでの日本の製品が安くなる→輸出企業の売上高が増す→日本の経済にとって吉
こういう関係があるため、円安になると日本の株価は上昇すると言われ、上の図では、ここ数年、実際そうなっていることがうかがえます。
結論:為替レートと株価に絶対的な関係はない
為替レートも、株価も絶対的な指標ではなく、あくまで相対的なものです。だから、当然、そこに、いつの時代の、どんな状況でも当てはまる絶対的な関係性というのは存在しません。
近年、円安になれば日経平均株価は上昇していますが、これが10年後も続いているとは限りません。
例えば、日本の株価が上昇しているということは、世界の投資家が日本の株を買っているということで、そのために円買いを行っているということです。にもかかわらずドル円のレートが上昇しているということは、円以上にドルが買われているということでもあります。
円安だからと言って、日本という国の信頼が、本当の意味で落ちたわけではなく、単にそれ以上に米国の評価が上がっているというだけの話。それが近年の状況です。
しかし、今後、本当の意味で日本という国の信頼性が薄れ、海外の投資家がそろって日本の株を売り払ったとしたら、円安と株価安が同時に襲ってくる、と言われています(この場合、国債も売られ、トリプル安になると言われています)。
- 現在、NYダウ、日経平均株価、ドル円レートは連動している
- しかし、今後もこれが絶対続くとは限らない
ちなみに、欧州の株価とユーロ円のレートには、全く連動性はありません(ただし、ユーロドルのレートとの連動はある)。
要するに、アメリカ経済が良くなればNYダウが上昇し、日本も欧州も英国も株価が上がり、円安ドル高、ユーロ安ドル高、ポンド安ドル高になりやすい、ということ。
今の世界はアメリカ合衆国が中心で、日本も欧州も英国も、経済のその大部分をアメリカに依存している以上、アメリカ経済の影響をもろに受けることになります。
近年、アメリカの信頼性が薄れつつあるため、為替相場も、米国の経済状況に敏感に反応しやすいわけです。
しかし、とすれば、今後、アメリカ中心の今の世界経済が崩壊すれば、当然ながら、今現在の為替と株価の関係性も崩れる可能性はある、ということになります。
繰り返しますが、絶対的な関係性というものは、株価と為替レートの間には存在しません。