米・雇用統計発表時の為替相場の動き方

世界各国の雇用の状況を表す経済指標が、雇用統計と呼ばれるもの。
FXの世界で雇用統計と言えば、特にことわりのない場合は、アメリカ合衆国の雇用統計のことを指します。

一般に雇用状況が改善すると、その国の景気が良くなると言われているため、それだけでも為替相場に与える影響は大きいのですが、米国の場合は失業率0の完全雇用を国是としていて、大統領選挙などでも失業率改善が論争のテーマになることから、同時にFOMCの金融政策にも大きな影響を及ぼすとされ、二重の意味で注目されています。

米雇用統計の発表は月に1度の一大イベント

米雇用統計は、その毎月の第一金曜日発表される、全米の企業等や政府機関で行った調査の結果を10項目以上の数字で表したものです。
中でも注目されるのは失業率と非農業部門就業者数の2項目。

雇用統計の数字は、プロのアナリストでも事前に予想するのが難しく経済指標の基本的な見方でも述べたように、予想と実数字との剥離が起こりやすいためサプライズが起きやすく、相場の大変動を起こしやすいという特徴を持っています。

そのため、米雇用統計の発表される毎月第一金曜日(夏時間:午後9時半、冬時間:午後10時半に発表)はFX業界では「月に一度のお祭り」としてとらえられていて、実際、雇用統計発表直後は為替レートが大きく動く場合が少なくありません。

以下の画像は2016年2月5日金曜日、雇用統計発表直後のドル円15分足チャートのものですが、実に上下100pipsの乱高下になっているのがよくわかると思います。

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失業率よりも非農業部門就業者数のほうが重要

一般に失業率は、完全失業者数÷(完全失業者数+就業者数)×100で表されますが、その対象には軍隊や刑務所に入っている人は勿論労働意欲のない者(ニート)は含まれません
また、景気が良い時でも、転職者が増えれば一時的に失業率が下がるため、一概に失業率と景気の善し悪しには相関関係があるとは言えません

対して非農業部門就業者数は、農業以外の産業で働く人で、実際に給料をもらっている人の数、になります。
給料をもらっている人の数が増えれば、より高確率で景気上昇へと向かうため失業率よりも非農業部門就業者数の増減のほうがより信頼できる数字である、と言われており、当然マーケットもこちらの数字により大きく反応します。

  • 非農業部門就業者数変化、失業率がともに予想値よりも良かった場合:ドル買い
  • 非農業部門就業者数変化は良く、失業率の結果が予想値よりも悪かった場合:ややドル買い
  • 非農業部門就業者数変化、失業率の結果が予想値よりも両方悪かった場合:ドル売り
  • 失業率は予想値よりも良かったが、非農業部門就業者数変化が予想値を下回った場合:ややドル売り

他の経済指標と同じく、前回との数値と比べて改善されたかどうか、よりも、予想値との比較で相場が動くことに要注意。
また、サプライズがあることがより相場を動かす要因となるため、例えば、非農業差部門就業者数変化が予想値よりも少し良くても、失業率が大幅に予想値を下回った場合は、サプライズのドル売りになることもあります。

更に相場の状況によっては雇用統計が「ドルの買いか売りか」に反応するとは限りません。

ユーロ危機が叫ばれ、欧州の多くの銀行が連鎖倒産していた時期(2009年ごろ)などは、米国の景気が良くなる=米国経済に依存しているユーロにとってプラスと判断され「ユーロの買いか売り」に繋がることもありました。

雇用統計の数字が予想値よりも良かったにも拘わらず、ユーロドルは大きく上昇したわけです。

FXのファンダメンタルズ分析のやり方・重要性

今、マーケットの関心がどこにあるのか、は投資家にとって常に頭に入れておかなければならないことであるという好例であったように思います。

雇用統計とともに注目される指標

上記のように米雇用統計は、世界経済(特に米国とその依存国)の景気判断にとって重要ですが、一番最初に述べたように、FORMによる政策金利決定にも影響を及ぼすため、FXトレーダーにとって2重の意味で注目すべき経済指標である、と言えます。

もし、雇用統計の結果が、発表前に知ることができていたら一稼ぎできるのに……。

そんな風に考える投資家は非常に多いです。

そのため雇用統計の前哨戦として(雇用統計の結果を予想するためのものとして)注目を集める経済指標も多く存在します。

消費者信頼感指数、ISM製造業景気指数、ADP雇用統計などがそれでいずれも雇用に関連する数値が発表されるため、雇用統計の先行指標になる、と言われています。
中でもADP雇用統計は、雇用統計の二日前(営業日換算)に発表されるため、要注目。

また、毎週木曜日に発表される新規失業保険申請件数も雇用統計の前日となるため、こちらの数字も注目してみておいたほうが良いでしょう。

勿論、雇用統計の数値を予想しようという人だけですが(笑)。

  • 新規失業保険申請件数:毎週木曜日発表
  • ADP雇用統計:毎月第一水曜日水曜日
  • 消費者信頼感指数:毎月の月末
  • ISM製造業景気指数:毎月第一営業日

消費者信頼感指数→ISM製造業景気指数→ADP雇用統計→新規失業保険申請件数と続くことで、1大イベントである雇用統計発表に向けて、為替マーケットは毎月、徐々に盛り上がっていくことになります。

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