バイナリ―オプションの倍率の決まり方・算出方法
バイナリ―オプションをやる際、みなさんがついつい目をやってしまう場所はどこでしょうか。
チャート、と答えた方は、おそらく立派な中上級者でしょうが、実際、初心者の人は別の場所を見てしまうのではないでしょうか。
国内バイナリーオプションの場合、ペイアウトはどこも一定ですから、やはり倍率(ペイアウト÷プレミアム)の部分なのではないでしょうか。
実際、高倍率になっている時に参加したほうが、損小利大になりやすいため、トータルでの利益は高くなりやすいです。
バイナリーオプションの購入金額や倍率の決まり方
バイナリーオプションでは、購入金額(プレミアム)や倍率は一体どうやって決まっているのか。
実はこれに関しては「こうやって算出しなければいけない」という決まりごとはありません。
なので、各バイナリー業者が各自で自由に設定しているようです。
自由に、といっても適当に決定しているわけではなく、きちんとした理論価格モデルに基づいて算出されています。
一般的にヨーロピアンタイプのオプション取引の場合「プレミアム=理論価格+リスクプレミアム」という式に基づいて算出されますが、バイナリーオプションの場合も同様です。
理論価格やリスクプレミアムの算出方法
ちなみに、GMOクリック証券「外為オプション」のペイアウト倍率も上記の「プレミアム=理論価格+リスクプレミアム」というモデルに基づいて決定されているようです。
当社の外為オプション取引もブラック・ショールズモデルに基づいて理論価格を算出しています。
同モデルでは、原資産価格、権利行使価格、ボラティリティ(価格変動率)、残存期間、短期金利をパラメーターとして理論価格が計算されますが、残存期間が1日未満の取引であるため、短期金利は実質的に0で計算されます(GMOクリック証券公式サイトより)。
ブラック・ショールズモデルに関しては非常に高度なので説明は省略しますが、国内バイナリー業者の場合はほとんどがこのブラック・ショールズ方程式を用いてプレミアムを算出している模様です。
GMOクリック証券「外為オプション」 | ブラックショールズ・モデル |
FXプライムbyGMO「選べる外為オプション」 | ブラックショールズ・モデル |
YJFX!「オプトレ!」 | ブラックショールズ・モデル |
FXトレードフィナンシャル「バイトレ」 | ブラック・ショールズ・モデル |
ヒロセ通商「LION BO」 | 記載なし |
トレイダーズ証券「みんなのバイナリー」 | ブラック・ショールズ・モデル |
IG証券 | ブラック・ショールズ・モデル |
理論価格の算出方法
ブラック・ショールズ方程式については非常に難解で理解する必要性はないかもしれませんが、理論価格の算出にどのようなパラメーターが関わっているかは知っておいて損はありません(口座開設時の知識確認テストにでます)。
理論価格の算出にかかわるパラメーターは以下の4つです。
- 原資産価格
- 権利行使価格
- ボラティリティ
- 残存期間
原資産価格とはFXの場合だと為替レートのこと、権利行使価格とは予測ラインのことですね。
1.インザマネーの場合
インザマネーとは円安予測の場合に、以下の画像のように、既に原資産価格>権利行使価格となっている状況のことです。
この場合、原資産価格(為替レート)が上昇すればするほど、ペイアウトを受け取れる確率は高くなりますから、プレミアムは上昇します。
また、権利行使価格を上げると、ペイアウトを受け取れる確率が小さくなるので、プレミアムは少額で済みます。
ボラティリティが高いあるいは満期までの時間が長いと、不確実性が増し、インザマネーがアウトオプザマネーへと転落する可能性が高いため、プレミアムは安く済みます。
2.アウトオブザマネーの場合
アウトオブザマネーとは円安予測の場合に、以下の画像のように、原資産価格<権利行使価格となっている状況のことです。
この場合、原資産価格が上昇すれば、インザマネーになりペイアウトを受け取れる確率は増加するため、プレミアムも上昇します。
また、権利行使価格を上げると、インザマネー同様、ペイアウトを受け取れる可能性は低くなるので、プレミアムも低く設定されます。
ボラティリティが高いあるいは満期までの時間が長いと、不確実性がまし、アウトオプザマネーからインザマネーへと転じ、ペイアウトを受け取れる可能性が増すため、プレミアムは上昇します。
インザマネー時のプレミアム | アウトオブザマネー時のプレミアム | |
---|---|---|
原資産価格が上昇 | 高額へ | 高額へ |
権利行使価格を上げる | 少額へ | 少額へ |
ボラティリティが高い | 少額へ | 高額へ |
満期までの残り時間が多い | 少額へ | 高額へ |
言うまでもなく、上記の表は円安予測(コールオプション購入)の場合のもので、円高予測(プットオプション購入)の場合は全て真逆になります。
冒頭でも述べましたが、プレミアムが安い時にエントリーしたほうが、損小利大トレードになり、トータルでの利益が増す傾向にあるのは、バイナリ―オプションも通常のFXも違いはありません。
インザマネー時のみエントリーする勝率重視派の人も、できるだけボラティリティが高い通貨ペアを選択したり、満期までの残存時間が長めの時にエントリーすることで、勝率はややさがるかもしれませんが、トータルでの利益は増す可能性があります。
リスクプレミアムとは?
リスクプレミアムとは、これまた難解な用語で、簡単に説明すると、投資家がリスクに対して求める保険金ようなもののことです。
例えば、審査の緩い消費者金融でお金を借りる場合、審査の厳しい銀行でお金を借りる場合よりも金利が高く設定されていますよね?
これはカーロドーンの審査を緩くすることで、貸したお金が返ってこないリスクがあることに対して、消費者金融側が貸付金利にリスクプレミアムを上乗せしているからです。
なんとなくイメージが湧いたでしょうか。
リスクプレミアムは、市場の流動性やヘッジ取引先の信用状況等に応じたヘッジコスト、オペレーション等により変動します。
リスクプレミアムはBID(売却価格)とASK(購入価格)の間にスプレッドに反映します(GMOクリック証券公式サイトより)。
まとめ
重要なのは、プレミアムやペイアウト倍率の難解な決定方法を知ることよりも、国内各バイナリー業者が、ブラックショールズ方程式という共通の算出方法を用いているにも拘わらず各業者でプレミアムや倍率がかなり違っているということです。
バイナリ―オプションは、通常のFXよりも不透明性が高いので、信頼できる業者を選ぶことは通常のFX口座よりも、より重要です。
間違っても海外詐欺業者を選ぶことのないよう注意したいものです。