GDPとは?為替相場に与える影響

GDPに代表される、生産に関する経済指標は、その国の経済活動が活発かどうかを指し示す指標です。
経済活動が活発かどうか、とはすなわち、その国の景気が良いかどうかのことですから、景気が良い国の通貨は買われやすい、という為替取引のルールに従うことになります。

GDPとは?をもっとわかりやすく説明すると

GDPとはGross Domestic Productの略で、国内総生産のことを意味します。
国内総生産とは、国内で、ある期間内に生産された物やサービスなど、価値の合計額のことを意味します。

価値とは、お金であったり、日本で言えば、鉄道であったり、ビルであったり、発電所や工場であったり、インターネット環境であったり、テレビゲームやスマホアプリなどのことで、簡単に言えば、国民の生活レベルを豊かにするもの、と言いかえることができます……。

と説明しても普通の人には価値って何?って感じであまり実感がわきませんよね(笑)。

なので、もっとわかりやすく説明すると、価値とはすなわち儲けのことです。

サラリーマンAさん:今月の収入30万
上場企業の社長Bさん:今月の収入1000万
パートで働く主婦Cさん:今月の収入10万
アルバイトの学生Dさん:今月の収入3万円
……..

こんな感じで、日本に住むすべての人(日本で働く外国人も含む)が1年間の間にいくら儲けたか。

それを合計して指数化したのがGDP。そう理解してもらったほうがわかりやすいと思います。

多くのサラリーマンも企業のトップも、お金のためだけではないという人もいると思いますが、結局は日々お金を儲けるために働いているわけで、GDPが高いということはそれだけその国に住む人がお金を稼ぐことができている、ということを示しています。

お金を稼ぐことができればできるほど、衣食住を含め、贅沢な暮らしが可能です。

日本の場合だと、ホームレスの人の数は発展途上国と比べてそれほど多くありませんよね?

要するにGDPが高いとは先進国として成熟している証であり、逆にGDPが成長し続けている国というのは、今まさに発展を続けている国である、ということができます。

  • 先進国:GDPは高いが既に成熟していて伸びしろがない
  • 後進国:GDPは低いがこれからぐんぐん伸びてくる可能性がある

一般的に先進国はGDPは高いが成長率は低く、後進国はその逆になります。

GDP成長率の高い国に投資すれば、当たり外れがあり当然リスクがあるものの、仮に当たった時の見返りは多く期待できます。
そのため、将来有望そうな後進国の通貨は為替市場で買われやすくなる傾向にあります(一般的にニュースなどでよく耳にする「経済成長」とはGDPの成長率のことを指します)。

以前は、GNP(Gross National Productの略で国民総生産)のほうが、より重要視されていました。
GNPは、GDPに海外での日本企業や個人の活動も含めたものですが、今は国境を越えて活躍する日本人も増えてきました(メジャーリーガー等)。
彼らは、1年のほとんどを外国で過ごし、税金を外国政府に支払い、買い物もほとんど外国でします。
要するに、彼らが日本経済に与える影響はほとんどないわけです(経済的には最早外国人と言ったほうが良いレベル)。

そのためGNPよりもGDPのほうがよりその国の景気を正確に反映している、というのが現在での共通の認識となっています。

GDPを良くするには?

GDPはその国に住む人皆の儲けの合計額です。

自動車がよく売れる=自動車メーカーの売り上げがアップ

このように言うことができますが、自動車メーカー以外にも実際にはもっと多くの人が自動車産業に関わっています。
自動車がよく売れたということは

  1. 自動車メーカーの売り上げアップ
  2. 自動車の部品(タイヤ、エンジン、エアバックなど)を作っている工場の売り上げもアップ
  3. カーステレオ、カーナビも良く売れるから家電店の売り上げもアップ
  4. 自動車保険加入者も増え、保険会社の売り上げもアップ

自動車だけでなく、他にも例を挙げると、コロッケが売れるということは

  1. コロッケ販売店の売り上げアップ
  2. コロッケの材料であるジャガイモを販売するスーパーの売り上げアップ
  3. ジャガイモをスーパーに卸している農家の売り上げアップ
  4. ジャガイモを農家からスーパーに運ぶ運搬会社の売り上げアップ

ということです。

このようにその業界の売り上げがアップすることでその業界で働いているいろんな人たちのお給料もアップします。

要するに

  1. 何かが売れる
  2. いろんな人の儲け(給料)がアップ
  3. 給料がアップしたから財布のひもが緩くなって他の物を買いやすい
  4. 別のいろんなものの売り上げアップにも繋がる

ということに繋がります。
私たち国民(消費者)がお金を使うことを個人消費と言いますが、個人消費がアップすれば、当然、GDPも上げることになります。

また

  1. 自動車の売り上げがアップした
  2. 儲けたお金で新しい自動車工場を作ってさらに儲けよう!
  3. 自動車工場を作るために不動産会社にお金を支払う(不動産会社の売り上げアップ)
  4. 新設された自動車工場にスタッフを大量に新規で雇う(失業率低下)

というように、企業が設備投資をすることでもGDPはアップします。

また

  1. 政府が新しい高速道路を作る
  2. 工事をする建設業者が儲かる
  3. 建設業者が工事のための機械を購入するから機械の製造工場で働く人も儲かる
  4. 建設業者が工事のためにスタッフを増やす(収入0の人にも給料が入る)

というように政府が公共事業をすることで、多くの人に潤いを与え、GDPをアップさせることも可能です。

また、昨今の中国人の爆買いブームにあるように、外国からの海外旅行者が日本で物を買ったり、あるいは日本の車や電化製品が海外で売れたりしても、GDPはアップします。

日本のGDPの内訳は

  1. 個人消費:56.34%(約300兆円)
  2. 政府の消費:19.92%(約100兆円)
  3. 輸出:17.22%(約90兆円)
  4. 企業の設備投資:15.26%(約80兆円)

となっていることからも上記4つがGDPをあげる為には、重要な要素です。

GDPの発表で為替レートはほとんど動かない?

前述したように、GDPは以下の4つの項目が大きな比重を占めています。

  1. 個人消費(家計)
  2. 設備投資(企業)
  3. 政府支出(国家)
  4. 輸出入(外需)

GDP統計は、年4回づつ、3ヵ月に一度、速報値、確定値、修正値の3種類が発表されますが、為替マーケットに一番大きな影響を与えるのは、速報値です。

GDPはその国の景気の善し悪しを図るためのものですから、当然、数値が良ければその国の通貨は買われやすいですが、GDP発表に伴い、為替相場が大きく動くことはほとんどありません

理由は、サプライズが起きにくいからです。

経済指標発表で相場が大きく動くためには、何らかのサプライズの要素が必要です。
発表された数字が予想値と大きくかけ離れていることが重要です。

経済指標の基本的な見方

経済指標の結果を予想する世界中のアナリストたちは、非常に優秀な人が揃っているのでしょう。
だから、市場予測が大きく外れることは少ないわけです。

それが雇用統計との一番の違いと言えます。

勿論、長期的にはGDPの結果は、為替レートに徐々に反映されていくことになりますが、他の要素も複合的に合わさるため、その影響の大小を観測するのはほぼ不可能。

要するにGDPの結果をもとにポジションの方向を決めるのはあまり有効でない、と言えます。

ただし、予想値と結果との間に大きな差(サプライズ)があれば、短期的にもトレンドが反転することもあるので、発表前に一応ポジションは閉じておくほうが賢明です。

ちなみに日本のGDPは、海外投資家の間ではほとんど注目されません。
ただし、こちらもサプライズがあると、相場が敏感に反応する場合もあり、しかもこちらの発表は日本時間の午前。
国内で株式投資をやっている人などはずっと注視しているかもしれませんが、FXトレーダーの場合、リアルタイムで発表を迎える人は少ないでしょう。
その場合、思わぬ形でロスカットにあうかもしれないので、一応注意は必要です。

また、イギリスのGDPは、アメリカGDPの先行指標となる、と言われていて、日本のGDPよりも為替相場に与えるインパクトは大です。
ポンドの取引をしている人などは要注意と言えます。

生産に関する重要な経済指標

GDPのほかにも、生産に関する経済指標は、その国の経済状況を反映するほか、GDPの結果予想をするうえでも重要です。

主に企業活動に関するものですが、その時の為替相場のテーマと一致すれば、短期的に見てもトレンドを変えるほどの影響を持つ場合もあり、一応、これらにも注意を払っておきましょう(ほとんどの場合は無視して大丈夫ですが)。

  • 耐久財受注:毎月25日前後の午前中
  • 鉱工業生産:毎月15日前後の午前
  • 設備稼働率:毎月15日前後
  • 住宅着工件数:毎月第3週
  • 製造業受注:毎月上旬
  • 建設支出:毎月上旬

上記の経済指標は全て米国のものです。
株式投資と違い、FXでは日本の経済指標はまず材料にされることはないので無視してもまず問題ありません。

日本のGDPは世界第3位!でも景気が悪い?

ちなみに、日本のGDPはアメリカ、中国に次いで世界第3位。
立派な経済大国と言えます。

世界で3番目にお金を稼いでいる国なのに、しかし私たち国民はそれを実感できているでしょうか。

おそらく多くの人が「NO」と答えるのではないでしょうか。

これには理由があって、実は日本は1人当たりのGDPは世界で25番目くらいとそれほど高くありません。

GDPは国民の儲けの総額なので、人口が多い国のほうがGDPが高くなる傾向があり、そして日本は意外と人口の多い国です。

だから国全体としてのGDPは世界第3位ですが、1人あたりに換算すると、世界約25位。

要するに個人レベルで言うと、日本人はそんなにお金を稼ぐことができていない、ということです。

  • 日本人はあまりお金を稼げていない(世界25位)
  • でも人口が多いので全員の分を合計すると世界第3位

一人一人の収入は低いけど、家族が多くて、世帯レベルでの収入総額は多い。
日本はそういう国なんですね。

GDP世界第3位の経済大国なのに、個人レベルでは一向に景気が良くなっているという感じがしないのはこういうからくりがあるわけです。

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