為替相場を動かす要因は日々変化する
為替のレートを動かす要因には様々なものがあります。
長期的な視点で言えば、FXが普通の主婦でも勝てると言われる理由でも解説したとおり、その国の通貨の強さ(国の経済力や軍事力)や各国政府の思惑によってレートは変化するのですが、短期的な視点で見ると、非常に多くの要因があります。
FXのレートを決めているもの
一般には以下のようなものが複雑に絡み合って、日々為替のレートは動いていると言われています。
- 各国の景気や経済状況:
好景気であるということは国の経済力が高いということの表れです。仮にAという国の景気や経済状況がよくなれば、多くの投資家がA国の株などを購入したいと考えます。とすれば、A国の株を買うためにはA国の通貨をまず購入しなくてはなりません。よってA国の通貨は買い優勢になり、レートは高くなります。ただし、日本という国だけは特別で、日本の経済状況が海外の投資家の注目を浴びることはあまりありません(寧ろ、米国の経済状況で円や日本の株価が上下します)。 - 各国の株価:
上と繋がっていますが、株価が上昇すると言うことは、その国の株が海外の投資家の間で人気があるということですから、その国の通貨が買われることに繋がります。特にNY時間(日本時間の夜8時以降)にFXする場合は、横目で米国の株価動向に多少は気を配る必要があります。 - テクニカルチャート分析:
FXはファンダメルズが非常に複雑なためもあって、多くのFXトレーダーは過去のチャートの値動きを分析し、そこから法則を見出そうとする相場の分析方法(テクニカル分析と呼ぶ)を多用する傾向にあります。移動平均線やボリンジャーバンドなど、多くのテクニカルツールが存在し、その分析方法も非常に奥が深いです。 - 各国の金利:
為替の世界にはスワップ金利というものがあるため、高金利通貨は買われやすい傾向にあります。特に主要国であるアメリカ、ユーロ、英国、オーストラリアの中央銀行が定期的に発表する政策金利に、多くのFXトレーダーが瞬きする間もないほど注目しています。ただし、ここでも日本は例外で、日銀の発表にはほとんど世界は無反応です。 - 資源価格:
石油や金などの価格の上昇は、豪ドルやカナダドルなどの資源国通貨にとって買い材料になります。 - 地政学リスク:
世界は常に先の読めない混沌の中にあります。戦争や地震などがそうです。例えばニューヨークで大規模な地震やテロが起これば、米国の経済的損失は計り知れません。当然、株価暴落&ドル安へと繋がります。大抵の場合どこで戦争やテロが起こったかが重要となる場合が多く、近隣の国は通貨安になる傾向にあります。 - 要人発言:
例えば欧州の偉い人(政策金利の決定に影響力を持つような人)が「欧州の金利は安すぎる」などといったニュアンスの発言をすれば、欧州の次の政策金利決定時に「EUは金利アップするのでは」という憶測が世界中に広まることになります。当然、それを期待した投資家によるユーロ買い&ユーロ高に繋がる確率が高いと言えますます。欧州よりも米国のほうが世界経済に与えている影響力が強いため、特に米国の偉い人の発言(軽はずみなものも含む)は、時に為替相場を大きく動かします。米国の偉い人は当然、日本人が寝ている時間に起きているため「朝起きたら、深夜に誰かが何かを言ったみたいで、すごいレートが動いてる!」なんてことがFXではよく起こります(笑)。初心者の方はストップロス注文は必ず入れて眠るようにしましょう。 - 為替介入:
為替介入には2通りあります。一つは政府が自国のいきすぎた通貨安(通貨高)を懸念して行うもの(日本も数年前の極端な円高時に行いました)。それともう一つ、大量の資金を保有する巨大ヘッジファンドなどが相場の混乱を狙って行ってくる場合もあります(混乱しているほうが大きく儲けるチャンスも多いため)。一国が行う介入よりも規模は小さいですが、タイミングによっては大きく相場が動くことがあります(特に短期的)。
為替相場を動かす要因は、以上のように非常に多くの要因があり、しかも、一つ一つが独立しているのではなく、複雑に絡み合っています。
ゆえにFXで勝ち組になるためには情報収集は欠かせない…と言いたいところですが、上記のように、為替相場を動かす要因は非常に複雑かつ個人が事前に知りえない突発的なものが多いゆえに、その道のプロでもなかなか予測が難しいとされています。
なので、初心者はそのほとんどを完全に無視して、テクニカル分析のみで勝負する、という手もありです。
FX初心者が一番やってはいけないのは中途半端な情報に左右され、己の相場観を失うことだと、肝に銘じておきましょう。