FXと株、大きな4つの違いとは?
FXと株、どちらも日本人に人気の投資の手段ですが、勿論、それぞれにメリット・デメリットがあります。
筆者は株式投資もFXも経験がありが、両者の違いにはメリット、デメリット含めて、大きくわけて4つの違いがある、と考えています。
FXと株の比較
4つの違いをざっとあげると、下のようになります。
- 取引時間
- 取引システム
- リスクとリターンの期待値
- ゲームとしての性質
順に詳しく見ていきましょう。
取引時間はFXのほうが融通が利く
株式取引は午前中は朝の9時から11時半(前場)、午後は12時30分から15時まで(後場)となっています(合計5時間)。
今はスマホアプリなどが便利になりましたが、日中仕事等で忙しいサラリーマンや学生、家庭の主婦が株式投資をするなら、ずっと取引画面を見ているわけにはいかないため、デイトレやスキャルピングという手法はなかなかやりにくいでしょう。
対してFXは24時間いつでもOK。しかも為替の取引は世界中で行われているため、日本独自の休日(お盆や祭日)なら、世界中のどこかの市場が開かれているため、取引をすることができます。
また、FXの場合、ロンドン市場が始まる午後2時半くらいから徐々に取引が活発化し、ピークは欧州時間午後とNY時間午前が重なる夜8時から深夜2時になるため、仕事が終わった後のサラリーマンでも、ゆっくりと集中してデイトレすることができます。
FXは相対取引
店頭FXの場合、くりっく365を除き、OTC(Over The Counter Transaction)という仕組み(相対取引とも言う)をとっています。
これはFX業者と投資家との間で取引が1対1でなされることを意味します。
ちょっとわかりにくいので補足すると、株の取引所取引の場合、あなたが購入する株は、どこかの投資家が売った株であり、あなたが売る株はどこかの投資家が買うことになり、そして証券会社は単なるその仲介役でしかありません(証券会社の利益は手数料のみ)。
つまり、あなたの利益は、どこかの誰か(投資家)の損失であり、あなたの損失はどこかの誰かの利益になります。
が、FXの場合、あなたの利益は、FX業者の損失、あなたの損失は、FX業者の利益になります。これが1対1で取引する(相対取引)ということの意味です。
取引所取引の利点は、透明性で、サービスの担い手である証券会社は単なる仲介者であるため、不正を行うメリットはありません。
しかし、相対取引のFXの場合、サービスの担い手であるFX業者は自分たちの利益のために、誇大広告等を使って初心者を誘導したり、ハイリスクなトレードを推奨したり、投資家が不利になるようなレート等の操作や、システムにトラブルを起こしたように見せかけて業者にとって不利な取引を拒否したりして、負け組トレーダーを大量に作れば、その分利益を増やすことが可能です(一応可能というだけで、実際やっているかどうかは不明ですが)。
逆に、勿論、相対取引にもメリットがあって、それはほぼ必ず取引が成立することです。
筆者の経験上だと、2008年のサブプライムローンショックやリーマンショックの際、ドル円は何度か大暴落しましたが、投資家が買いたい値段、売りたい値段でほぼ100%、きっちりとFX業者は注文を通してくれました。ロスカット注文が通らないということはほぼないといえます。
ただし、スイスフランショックの際は、あまりにも急激に値が飛んだために、一部のFX会社のロスカットシステムが追い付かず、証拠金を超えるマイナス決済、つまり借金を抱える羽目になったトレーダーが続出した模様で、損をしたトレーダー側とFX会社との間で責任の擦り付け合いになり、裁判で争うという事態にまで発展しましたが、結局は、FX業者側が投資家の損失を補てんする形でまとめりつつあります。
ただし、上記のようなFX業者はあくまで一部なので、しっかりした信用のおけるFX会社を選んでおけば、FXでは基本的に借金を負うことはありません。
逆に、株の取引所取引の場合、大暴落が起こった場合、なかなか取引が成立しません。
あなたが買いたい(売りたい)株があっても、売ってくれる(買ってくれる)人がいなければ、取引は成立しないわけですから当然ですね。
2006年のライブドアショックの時、確か1株800円くらいあったライブドア株が大暴落、最終的に1株20円以下になるまで、取引が成立しませんでした。
もしあなたがライブドア1万株を保有していたとしたら、資産が800万から20万まで数日で減ることになり、しかもそれをただ指をくわえてみているしかなかったわけです(勿論、ああいうことはめったにありませんが)。
FXではこういうことは、きちんとしたFX会社を選んでおけば、まずないとありません(保証はできませんが)。
FXのほうがハイリスクという認識は間違い
上記の例を見るまでもなく、FXは株よりもハイリスクだ、という認識が間違いであることがわかると思います。
- FX→ロスカット注文がほぼ100%約定する
- 株→未曽有の大暴落時、売り手が見つからず、ロスカットできない
ただし、FXは株にはない、システムがあります。それがレバレッジ。
現在、レバレッジは25倍まで可能なため、100万円の投資資金で2500万円分の投資をすることができます。
通常よりも利益を25倍にすることができる反面、損失も25倍になります。
しかも、規制前まではレバレッジ400倍なんて業者もありました。
要するに、FXがハイリスクなのは、レバレッジを高く設定すれば、という仮定のもとだということがわかると思います。
レバレッジを一切かけない(つまりレバレッジ1倍の場合)、FXは1日の変動率が株よりもはるかに小さいため、リスクもリターンも株よりも小さいです(このことをよくわかっていない初心者は多いです、ほんと)。
ただ、FXも株も、ほとんどの人が大儲けを目論んで始める人が多いと思います。
レバレッジとは欲に捉われた人間にとってまさに悪魔のささやきのようなシステムです。
人間どうしてもその誘惑に負けてしまいがち。
そう考えると、FXのほうがリスキーというのはあながち間違ってはいないと言えるかもしれませんが」。
FXと株で必要なスキルは違う
また、FXと株では、儲けるのに必要なスキルはちがいます。
どちらかというと株は経済や経営学に関する知識があったほうが有利になります。
- これからどんな商品やサービスが流行るか
- どこの企業がこれから業績を伸ばすか
こういったことをしっかり見極める力がある人が、株の世界では成功している傾向があります。勿論、それには流行に敏感であるだけでなく、企業の業績分析等も行う必要があり、当然、そういった知識がある人のほうが、知識のない人よりも優位になります。
逆にFXの場合、FXが普通の主婦でも勝てると言われる理由でも書いた通り、どちらかというと、あまり専門的な知識は必要としません。
要するにギャンブル要素が強く、そういった意味では無学の初心者が、高学歴のプロのディーラーよりも時に優れたトレーダーになる場合もあります。
以上、4つの違いをざっとまとめてみましたが、こうしてみると、FXと株。ひとくくりにしてみている人が多いかもしれませんが、全く別ものだということがわかってもらえるのではないでしょうか。
株で大儲けできた人でも、FXでは大負けする。あるいはその逆も当然あり得るわけです。