ボリンジャーバンドの基本的なシグナルと使い方
ボリンジャーバンドは、統計学に基づいたテクニカル指標で、視覚的に非常に見やすく、またシグナル判定の精度も高いこともあって、多くの投資家に絶大な人気を誇っています。
統計学というと難しそうですが、要するに「統計学における正規分布は高い確率でバンド内に収まる」というもの。以下で図で解説するので、深い意味まで理解する必要はありません。
目次
ボリンジャーバンドの基本
統計学によると、チャート上の株や為替の価格は以下の範囲に収まる、とされています。
- ±1σに収まる確率 = 68.26%
- ±2σに収まる確率 = 95.44%
- ±3σに収まる確率 = 99.73%
σ(シグマ)とは標準偏差のことで、偏差値を求めたりするのに使う数学用語で、平均値からどのくらい離れているかを示す指標となるものですが、求め方ははっきり言ってFX投資とは無関係であり、理解する必要は全くないので省略します。
以下の図で言うと真ん中のピンク色の線が20日移動平均線、その外側にある青い線が±1σバンド、黄色が±2σバンド、一番外側の赤の線が±3σバンド、になります。
要するに価格(ローソク足)は
- 68.26%の確率で±1σバンド(青)の内側に納まる
- 95.44%の確率で±2σバンド(黄)の内側に納まる
- 99.73%の確率で±3σバンド(赤)の内側に収まる
ということを意味しています。
ボリンジャーバンドは順張り向きか逆張り向きか
99%以上の確率で±3σのバンド内に収まるのだから、ボリンジャーバンドを使ったトレードは「±2σや±3σにロウソク足が達した場合の逆張りが基本」である、と考えるのが自然かもしれません。
+3σに価格が達したら99.73%の確率でもうこれ以上は上がらないはずなのだから当然売りエントリーでしょ。
ここまでの話の流れだとこのような考え方が常識的に思えますよね。
ただ、統計学的な考え方ではこれが正解なのですが、実際、FXではこの考え方が不正解になる場合が少なくありません。
というのも為替相場は一度動き始めると急激に変動するという特徴を持っているからです。
要するにだましが発生しやすいというわけですね。
このため「(めったに到達することのない)±2σや±3σにロウソク足が達した場合は、ボラティリティが上昇してどちらかに大きく動く前触れなのだから順張りエントリー」というふうに見ることもできます。
上記の図のように、ロウソク足が±2σや±3σのバンド達した後、さらに勢いを増し、まるでバンドの上を歩いているかのように見える現象をバンドウォークと呼び、強い売買シグナルとして、多くの人に捉えられていて、ボリンジャーバンドの使い方としては寧ろ逆張り戦術よりも、バンドウォークを期待した順張りエントリーのほうが主流になっています。
- 相場が膠着している時=バンドの両端が狭まってきている時は、逆張りエントリー
- ボラティリティが上昇している時=バンドの両端が広がってきている時はトレンド発生の前触れなので順張りエントリー
一般には上のような見方が有力とされていますが、相場膠着時の逆張りエントリーは、あまり大きく利鞘が取れず、トレンド発生時のバンドウォークは、大きく利鞘を稼ぎやすくいわゆる「損小利大トレードになりやすい」という傾向があるため、順張りでボリンジャーバンドを利用するトレーダーが多い要因となっています。
ボリンジャーバンドは使い方次第で最強のツールにもなりうる
ボリンジャーバンドは、統計学的なバラつきを利用したテクニカルツールで、前述したように、本来「逆張り戦術」に適しているはずなのですが、実際のトレードでは順張り戦術のほうが主流になっている、という一見矛盾に満ちたテクニカル指標、と言えます。
事実、ボリンジャーバンドの名前のもとになった、この指標の開発者であるジョン・ボリンジャー氏自身が「逆張りで使うべきではない」あるいは「ボリンジャーバンドだけで相場を判断するな」と言っているくらいです。
ただ、そうした一見矛盾を持つこのテクニカルツールが多くの投資家に愛用されているというのも事実であり、相場分析ツールとしての高い信頼性を得ているというのも事実です。
バンドウォーク以外の、ボリンジャーバンドを有効な使い方。
それは先ほど述べたジョン・ボリンジャー氏の言葉にヒントがあります。
- 逆張りで使うべきではない
- ボリンジャーバンドだけで相場を判断するな
上の二つの文を要約すると「他のテクニカルツールと組み合わせて使うならボリンジャーバンドは逆張りでも使える」と解釈することができます。
ボリンジャーバンドはオシレーター系指標と相性が良い
ボリンジャーバンドは、トレンド系テクニカル指標に分類されるように、それ単体では、トレンド発生の有無を判定するのには非常に適して、そのためバンドウォークに代表されるように、トレンド発生時の順張りエントリー戦術に有効とされています。
が、逆張り戦術に使えないわけではありません。
逆張り戦術とは「買われ過ぎ(売られ過ぎ」を判別し「上がったら(天井で)売り、下がったら(底で)買い」というふうにエントリーチャンスを捉えるトレード手法ですが、この戦術には本来はトレンド系テクニカル指標ではなく、MACDやRSIといったオシレーター系テクニカル指標が用いられることが多いです。
ボリンジャーバンドは、このMACDやRSIと同時に用いると「買われ過ぎ、売られ過ぎ」の判別の精度が上がると言われていて、非常に相性が良いとされています。
本来、ボリンジャーバンドの基本的な考え方は「2σや3σに達したら逆張りエントリー」なので、同じような考え方で発案されたオシレーター系指標と組み合わさると、売買シグナルの精度が高まり、より威力を発揮するわけですね。
「バンドウォークが始まったので順張りエントリーしたけど、どこでタイミングで決済したら良いのだろう?」
そういったイグジット(出口)の判別方法としても「ボリンジャーバンド+オシレーター系指標」の組み合わせは最適と言えます。
ボリンジャーバンドの売買シグナルまとめ
以上、ボリンジャーバンドの説明でしたが、以下、売買シグナルの見方を簡潔にまとめておきます。
以下の図と照らし合わせてみるとよく理解してもらえると思います。
バンド拡大時に2σや3σに達したら順張りエントリーが有効
バンド収縮時に2σや3σに達したら逆張りエントリーが有効
であり、逆張り時にはMACDやRSIを使うと
売買シグナルの精度がより高まる
バンドウォークの終わりを予測できる
ということになります。
また、逆張りよりも順張りのほうが一気に利益を乗せやすいことも上の図を見れば明らかだと思います。
- ロウソク足と2σや3σバンドとの位置関係
- バンドの広がり具合
- 移動平均線でトレンドの方向を確認
以上3つの状況を、視覚的、総合的に見ることで
相場が膠着から活性化へと向かっているのか
あるいはその逆なのか
を判断することができます。
初心者でも、相場状況を視覚的に理解できる、という点こそがボリンジャーバンドの最大の魅力だと思います。