バルサラの破産確率表が教えてくれるもの
バルサラの破産確率表というものを知っていますか?
破産確率とは、書いて字のごとく、とあるルールでトレード(賭け)を行った際に、どのくらいの確率で資金が0になってしまうか、を示したもので、ギャンブルの世界では結構ポピュラーなものですが、FX投資でこれを意識している人はほとんどいないのではないでしょうか。
バルサラの破産確率の求め方
バルサラの破産確率表は、ナウザー・バルサラという数学者が作成したもので、以下の3つの要素から計算できます。
- 勝率
- ペイオフレシオ(平均利益÷平均損失)
- 総資産における1回のトレードでの掛け金の割合
2のペイオフレシオとは、要するにFXの場合よく話題になる「利食い幅が損切り幅の何倍か」のこと。
3は、FXの場合、1回の損切りで失う金額が、投資資金の何パーセントに当たるか、というもの。
計算式は非常に複雑なので、ここでは割愛します。というより筆者もよく理解できません(笑)。
というより、はっきり言って、計算式自体は理解する必要はないと思います。
ただ、計算式より求められた破産確率表の意味するところはしっかりと理解しておくべきだと思います。
バルサラの破産確率表が教えてくれるもの
ネットで検索すると、下のような表を載せてある投資ブログは多々ありますが、そのほとんどは3の「総資産における1回のトレードでの掛け金の割合」については全く表記されないまま議論されているようで、結構的外れなものが多いです。
勝率50%、リスクリワードレシオ1の場合、破産確率50%、なんて書かれてある、でたらめなものも少なくありません。
言うまでもなく、この場合の破産確率50%は「総資産における1回のトレードでの掛け金の割合」は、100%、つまり「1回負けたら終わり」の場合ですね。
以下の表は、FX初心者にありがちな、総資産に置ける1回のトレードでの掛け金、つまり1回のトレードでの損切り金額が全資金の10%(種銭が10万円でマイナス1万円で損切り)の時の表です。
ここで見て欲しいのは、勝率50%、リスクリワードレシオ(利食い幅÷損切り幅)1の場合の破産確率です。
なんと99%!(実際は99,99)です。
まあ、種銭10万円しかないのに、1回のトレードで1万円も賭けていては、ほぼ100%、すぐに資金が0になるのは当然ですね(投資の世界では10連敗なんてよくある話ですし)。
大事なのは、例えば
種銭10万円、損切り1000円
という、先ほどよりも1回当たりの枚数やレバレッジを大幅に下げた場合。
多くのFX初心者がやりがちな設定でトレードを行った場合の結果です。
この場合の破産確率はどのくらいになるかというと……。
計算式はややこしいのでここでも割愛しますが、答えはなんと99%(詳しくは99,4%)!
ほとんど変わっていません(笑)。
0,5%下がっただけです。
投資資金が10万円で、損切りは早めにマイナス1000円ですよ?
しっかりとリスク管理している、と言っても良いレベルだと初心者の方は思うかもしれません。
それでも無限回トレードすれば、いずれほぼ間違いなく資金は0になるということです。
勿論、目標金額、例えば「50万たまったらFXやめる」みたいなものがある場合は、当然違いますが、「FXで飯を食う」つまり一生FXを続けるつもりなら、スプレッド(取引コスト)が0だった場合でも、勝率50%、リスクリワードレシオ50%でトレードを続けてはいずれ破産するいうことは、しっかりと理解しておく必要があると思います(これを損切り貧乏と言います)。
まあ、勝つ確率50%で利食い幅と損切り幅が同じなら、資金は増えも減りもしないいったりきたりの場合がほとんどで、ゴールがないのならいずれは資金は0になる、ということはいちいち破産確率とか小難しい話をしなくても感覚で理解できるとは思いますが(笑)。
資産管理はやっぱり大事
ちなみに、勝率を55%に上げると、損切り幅=利食い幅、投資資金10万円&損切り1000円の場合、破産確率はなんと10%程度まで減らせます(計算式は割愛)。
ただ、逆にみるとそれでも10%もあると言えます。
10分の1の確率で破産するわけですから、これではFXで食べていくのは到底無理と言わざるを得ません。
ちなみにバルサラの破産確率では、四捨五入して0になるのが理想、つまり0,5%以下が望ましいそうですが、私たちの場合は、ギャンブル、つまり掛けではなく「FXで安定してお金を増やしていく」ことが目標なわけですから、破産確率は0%にする必要があると言えます。
- 損切り幅=利食い幅
- 投資資金10万円&損切り1000円
ちなみに、この場合、勝率55%程度だと破産リスクはほぼ0にまでなります。
先ほどの「投資資金10万円&損切り1万円」の場合でも勝率70%まで行ければ、破産確率は0にできるのですが、勝率70%は至難の業なので、やはり、初心者のうちは、1%程度の少額から、というのは数学的に見れば、当然だということがよくわかりますね。
勝率より損小利大はもっと大事
リスク管理をしっかりしていれば、利食い幅=損切り幅の場合でも、少し勝率を上げるだけで、破産確率を0にすることが可能だということがわかりました。
が、実際には勝率を上げたり、レバレッジを下げたりするよりも、もっと簡単に破産確率を下げることが可能です。
そのキーワードが損小利大。
例えば「投資資金10万円&損切り1万円」というさきほどの10連敗で終わりという結構リスキーなトレードスタイルでも、上記の表を見ればペイオフレシオ(利食い幅÷損切り幅)が2倍3倍と多きくすれば、破産確率がぐぐっと下がることがよくわかるのではないでしょうか。
勝率を上げようとするよりも損小利大を目指すほうが、より簡単に破産確率を減らすことができる、と言い換えてもよさそうだとは思いませんか?
損小利大を目指しなさい、というFXの入門書に書かれている格言は、数学的に見ても実は正しいということがわかってもらえたでしょうか。
スキャルピングはやっぱり怖い
ハイレバ&スキャルピングメインがトレードスタイルだというあなた!
- 勝つときは10pipsで負ける時は100pips(つまりペイオフレシオ0,1)
- 勝率は90%
- 投資金100万円でマイナス1万円で損切り
このルールでトレードを続けていった場合の破産確率を知っていますか?
ずばり100%です(笑)。
FX初心者が、スキャルピングであっという間に投資資金のほとんどを溶かしてしまう。
そういった事例を多々耳にするのも頷けるというものですね。