ピボットの基本的なシグナルと使い方
ピボット(pivot)とは直訳すると、「旋回する」を意味します。別名「リアクション・トレンド・システム」とも呼ばれ、基本的には逆張り(リアクション・トレンド)戦略のためのテクニカル指標ですが、順張りでのトレンドフォローにも対応しているところが、他のテクニカル指標にはない大きな特徴です。
超短期でのトレンド発生を検知することを目的としているため、デイトレーダーなどにおススメのインジゲーターです。
ちなみにこの指標もJ・ウェルズ・ワイルダー氏が考案したとされています。
ピボットのシグナル
ピボットはローソク足の上下に2本づつサポートラインとレジスタンスラインを引き(逆張りライン)、更にその上にブレイクラインを引いて順張りトレンドフォローにも対応します。
ピボットの計算式は以下の通りです。
H:前日の高値、L:前日の安値、C:前日の終値
R1:第1のレジスタンスライン、R2:第2のレジスタンスライン
S1:第1のサポートライン、S2:第2のサポートライン
HBOP(High Break Out Point):第3のレジスタンスライン
LBOP(Low Break Out Point):第3のサポートラインP(ピボット)=(H+L+C)÷3
D1=H-P、D2=P-L、D3=H-L
R1=P-D1=2P-H、R2=P+D3=P+HーL
S1=P+D2=2PーL、S2=PーD3=Pー(H-L)
HBOP=P+D2+D3=2Pー2L+H=S1+(H-L)
LBOP=PーD1-D3=2P-2H+L=R1ー(H-L)
テクニカル指標の計算式は非常にややこしい場合が多いですが、深い意味まで知る必要はなく、重要なのはどのように見るか、であり、ピボットの場合も同じです。
計算式からもわかるように、前日の高値と安値を差を目安に当日のサポレジラインを設定しよう、というのがピボットの基本的な考え方です。
以下の画像ではピボット・ラインを白、第1のサポレジラインを黄色、第2のサポレジラインを赤、一番外側のHBOP、LBOPを青のラインで表示したものです。
ピボットのシグナルの見方は以下のようになります。
- 第1支持線S1で押し目買い
- 第2支持線S2で損切り、あるいは買い増し(ナンピン)
- LBOP到達で損切り
- LBOP突破で途転売り(トレンドフォロー)
- 第1抵抗線R1で戻り売り
- 第2抵抗線R2で損切り、あるいは売り増しナンピン
- HBOPで損切り
- HBOP突破で途転買い(トレンドフォロー)
第一のサポレジを買いや売りのシグナルにして、第2のサポレジを損切りラインあるいは買い増し・売り増しライン、第2で買い増し、売りましをした場合は、HBOP、LBOPで損切り、というのが基本的なピボットを使った逆張り戦術ですが、HBOP、LBOPを明確にブレイクした時には、トレンドフォローへ戦略を転換します。
上の画像では、第3サポレジラインまで到達することは稀で、ほとんどが第1、第2ラインで跳ね返されていますが、これは通貨ペア、時間足、相場状況によって異なるので、上記のシグナルをシステマチックに忠実にまもるのではなく、臨機応変に裁量での判断を加えることでより信頼性はアップするはずです。
ピボットは短期トレーダー向き
ピボットは「前日の高値を更新したら買い、安値を更新したら売り」といった、短期的な視点に基づいています。
移動平均線のように「過去何日かの値動き」を見て、当日の動きを予測するのではなく、あくまで指標の計算式の元になっているのは1日前の高値と安値と終値だけです。
前日の値動きだけを見て当日の値動きを予想する、という視点はまさにデイトレーダーの視点そのもの。
この点から超短期トレード向けの指標、と言われています。
ピボットは広義のフィルター・ルール
ちなみに、ピボットは、広い意味でフィルター・ルールというものを取り入れたテクニカル指標です。
フィルター・ルールとはそれまで上昇(下落)傾向にあった価格が、天井(底)からある一定レベル下がったら(上がったら)、トレンドが反転したとみて、買いと売りを反転させる投資戦略のことを言います。
株式投資の場合だと天井から10%下がったら売り、といった10%ルールが一般的ですが、値動きの割合の少ない為替相場の場合、このピボットのように%ではなく、単純に価格幅で代用しています。