サイコロジカルラインの基本的なシグナルと使い方
サイコロジカルライン(Psychological line)とは、直訳すると、心理的なラインを意味します。
相場の動かすのは、投資家であり、投資家は人間である以上、心理的な束縛を免れません。
今の相場が怖い、わからないと感じれば弱気になり、自信がある時は、強気になります。
そういった投資家心理を数値化して、チャート上に表示しよう、という試みのもとに考案されたのが、このサイコロジカルラインというテクニカル指標です。
サイコロジカルラインのシグナル
サイコロジカルラインは非常に単純な計算式であらわされます。
サイコロジカルライン=(ある一定期間の価格が上昇した日数)÷(対象期間の日数)×100
例えば、相場が上がる確率と下がる確率が同じだとします。
その場合、ここ10日間のうち、9日で価格は上昇(ローソク足は陽線)、1日だけ価格が下落していたとします。
上がる確率と下がる確率が同じだと仮定すれば、確率論的に、これだけ価格が上昇する日が続けば(10日中9日)「そろそろ下落基調に入るはず」と多くの人が思うでしょう。
サイコロジカルラインの見方は、まさにこれと同じです。
サイコロジカル(心理的)とサイコロをかけたジョークのつもりなのか!と疑いたくなるくらい単純な考え方ですね(笑)。
一般にサイコロジカルラインでは
過去12日間において9日以上陽線があれば、相場が強気と判断して順張りでの買いエントリー……ではなく、買われ過ぎと判断して、逆張りでの売りサインになりあす(逆は逆張りでの買いサイン)。
これは過去10年間のチャート分析から12日間中9日以上(75%以上)陽線が占めることは確率的に稀である、という経験則に基づいているだけで、小難しい数学的な計算式は一切ありません。
単純ではありますが、実際、相場を動かす人間は回り回って、裏の裏は表となって、結局、シンプルな考え方に帰結しやすい生き物です。
難しい理論を振りかざしたテクニカル指標が人気を博す中、サイコロジカルラインがひっそりとではありますが、確実に多くのトレーダーの支持を受けるようになった理由はそこにあるような気がします。
- サイコロジカルラインが25%以下で買い
- サイコロジカルラインが75%以上で売り
以下の画像では赤のラインが75と25になっています。
サイコロジカルラインはFXには向かない?
上の画像を見て、一目わかるのがダマシの多さでしょう。
値動きのあまりない相場状況では、ほとんど全く役立たずの指標になってしまっています。
1日で100pips上がった日も10pipsしか動かなかった日も、同じ「上昇した日」としてカウントされてしまうため、トレンドの強さを明確につかんでいるとは言えないからです。
以下の画像はそれなりに値動きのある相場ですが、それでも、それほど的中率が高いとは言えませんね。
特に為替相場は株式相場と比べて「普段は値動きが小さく、動き出すと大きく動く」という特徴があるため、逆張りよりも順張りトレンドフォロー戦略のほうが有効とされています。
そういう意味では、あまりFX向きのテクニカルツールではない、と言えるのかもしれません。
短い時間足を使っての、値動きの激しい通貨ペア(ポンド円やポンドドルなど)での逆張りスキャルピング、ならそれなりに有効なのかもしれませんが、それでも株式投資ほどの有効性は期待できないように思います。
あくまで他のテクニカル指標をメインに、補助的なツールとして使うのが正解なのかもしれません。
個人的には、わかりやすくてよく参考にする指標ではあるのですが。
RSIはサイコロジカルラインの上位互換?
ちなみにサイコロジカルラインの考え方に、上昇幅や下落幅といった、いわゆる「変動幅」の概念を加えたものがRSI(相対性指数)と呼ばれるテクニカル指標になります。
RSIはテクニカルトレーダーなら知らない人はいない、と言えるほど超有名指標ですが、実はこちらも逆張り型であり、レンジ相場には強いものの、トレンドフォローには向かないテクニカル指標になっています。
ただ、価格の変動の値を加味している点で、トレンドの勢いを図るのには、サイコロよりもこちらのほうがはるかに優秀です。
使っている人もRSIのほうが圧倒的に多いので、初心者の方はよほどの理由がない限り、RSIを用いたほうが無難と言えます。