第9話:たった一つのテクニカルツールだけで勝てるのか?
第8話の続きです。
FXで生き残るためには、やはりテクニカル分析を極めるしかないと悟り、再び、テクニカルツールの精査を行うことに決めた私ですが、これがなかなかうまくいきませんでした。
SMAやEMA、ボリンジャーバンド、RSIなど、いろいろなテクニカルツールを使って、如何に大きなトレンドを捕まえるか、ということを、過去のチャートを使って、目視でのバックテストでいろいろと試してみたのですが、どれもこれもダマシが多く、結局は、これといった優位性は発見できませんでした。
1つのテクニカルツールだけで優位性は作れない?
優位性のある売買ルールを見つけ、それに従って機械的にトレードすることが大切。
実際に勝っているFX上級者はほとんどがそういいます。
もし、それをなすことができれば、FXで大儲けすることはそう難しくはないと。
でも、言うまでもなく優位性のある売買ルールを見つけることは、初心者にとって非常に難易度が高いです。
私はそのことを身をもって知ることになりました。
というのもテクニカルツールの検証をすればするほど、とあるジレンマにとらわれてしまうからです。
たった一つのテクニカルツールだけでも勝てるには勝てるが……
とあるジレンマというのは、テクニカルツールのフィルターを弱めれば、シグナルはそれなりに点灯するものの、ダマシが多く、なかなか勝ち続けることは難しく、逆にフィルターを強めれば、シグナルの的中率は上がるものの、めったにシグナルが発生しなくなる、というもの。
例えばストキャスティクスというテクニカルツールでは、%Dが80以上で売りシグナル、とうのが入門書などで書かれている基本的なシグナルですが「%80以上で売り」を行うと、勝てる時もありますが、相場状況によってはことごとく予想が外れてしまいます(下の画像では青色が%D、点線の上が80ラインです)。
しかし、これを%D90以上で売り、などとシグナル発生条件を厳しめに設定すると、的中率が上がり、結構な確率で勝てるようになりますが、フィルターを強めれば強めるほど、今度はシグナルが発生しにくくなり、プログラムを組んでコンピューターに自動売買させている人以外は、取引画面と何時間もにらめっこしていながら、全くエントリーできない、つまり時間の無駄、という事態になってしまいます。
スイングトレードなどで、負けないことに徹している人なら、たった一つのテクニカルツールだけでも、シグナル発生条件を厳しめに設定すれば、それなりに勝てるのかもしれません。
ただし、リターンを追求するタイプのデイトレーダーにとって、シグナルがなかなか発生しない売買ルールというものは、まず使い物になりません。
複数のテクニカルツールを組み合わせる
たった一つのテクニカルツールだけで勝つのは難しい、となれば、今度は複数のテクニカルツールを組み合わせて使うことになりますが、このやり方も、結局はフィルターを強めることと同義で、勝率は上がりますが、トレード回数は減ることになります。
要するにあまりにもリターンの期待値が低くなりすぎるのです。
勿論、FX初心者は確かに負けないことも大切です。
が、利益を追求したいがためにFXを始めたわけですよね?
絶対に損をしたくないならFXをやめればいいだけです(笑)。
FXをやっているということはリスクを承知でリターンを求めているわけですよね?
そう考えると
- 的中率は高いが、点灯率が低いシグナル
- 点灯率は高いが、的中率が低いシグナル
どちらも有効な売買ルールとは言えません。
的中率が高く、シグナル点灯頻度も高い売買ルールこそが、私の求めているものなのですが、これがなかなか見つからない。
ボリンジャーバンドとRSI、あるいはMACD、ストキャスティクス、一目均衡表、FX業者の取引ツールに搭載されているテクニカルツールはありとあらゆるパターンを、組み合わせてみましたが、どれもうまくいきません。パラメーターを変更することもやりましたが結果は大同小異、大して変わりませんでした。
3つくらいのテクニカルツールを組み合わせると、非常に的中率の高い売買ルールが出来上がりますが、やっぱり、そういった売買ルールではシグナルがなかなか点灯しません。
3か月ほど、毎日のようにいろんなテクニカルツールをとっかえひっかえ、いろいろバックテスト(目視)をやってみたものの、全く光明が見いだせず、だんだんと私のほうもだるくなってきたというか、モチベーションが低下し始めました。
もう1ヵ月同じことやれ、と言われたら、間違いなく挫折していたと思います。
悔しいですが、FXで勝つことを諦めることになっていたでしょう。
そんな折、運よく、とあるコラムを読んで、ようやくというか、なんとなく一筋の光が見えたような気持ちになることができ、一気にハートに火が付くことになります。