第2話:連戦連敗スタートでいきなりマイナス50万円(笑)
前回の続きです。
意気揚々とFXを始めることになった私ですが、意外とFX口座の開設は時間がかかり、それまで大人しくデモトレードで練習することになりました。
私がFXを始めた2008年当時は、審査とかおそらくなかった(と思う)のですが、今は審査もあるらしく、加えてマイナンバーの提出など、いろいろと手間がかかりそうですね。
ただ、どっちみち取引ツールの使い方はFX業者それぞれ個性があるため、最初に学ぶ必要があります。
口座開設の届けを待っている間にデモトレードで学んでおくのが一般的ですが、仮にデモトレードで良い成績を上げたからと言って油断してはいけません。
デモトレードとリアルトレードでは全く緊張感が違うので、デモトレードでの成績は全くあてにはなりません。
デモトレードでは1週間で+200万の勝ち
ちなみに、私のデモトレードでの成績は、連戦連勝で、一度も負けがありませんでした。
仮想資金500万から始まって、口座開設のお知らせが届くまでの約1週間に、資金は700万弱まで膨れ上がります。
それもそのはず、一度も損切りをしなかったからなのですが(笑)、それでも私は完全に調子に乗ってしまいました。
「ほら、やっぱりね」みたいな感じです。
もともと勝つ自身満々だった私にとって、デモトレードの好結果は、別に驚くべきものではなく、当然の結果だったのです。
いよいよリアルトレード開始
FX口座は、一応2社同時に申し込んだのですが、1社は外為どっとコム。当時口座開設数ナンバー1の人気業者。
もう1社はFXプライムbyGMO(当時は伊藤忠商事グループ)。
デモトレードは外為どっとコムのバーチャルトレードだったのですが、私はFXプライムbyGMOのほうで、取引を始めることにします。
理由は単純に取引画面が見やすかったから。
じゃあ、最初からFXプライムbyGMOのデモで練習しとけよってことなんですが、とにかく早くリアルトレードが始めたい一心で、細かいことはどうでもよかったのです。
この辺りからも私がFXを完全に舐めきっていたことがよくわかると思います(笑)。
ちなみに、当時のFXプライムbyGMOも外為どっとコムも、PCインストール型の取引ツールはなくて、取引するにはいちいち取引サイトにアクセスする必要がありました。
取引枚数はいきなり5枚から
最初に口座にいれた金額は100万円程度。
取引通貨ペアは、FX入門書で「初心者はドル円から始めよう」と書いてあったので、その通りにドル円を選択。
取引枚数は、これまたFX入門書で「1万通貨では緊張感がなく、FXで重要なメンタルの強化はできない。FXで勝ち組になりたければ5万通貨くらいから始めるくらいの気概を持て!」と書いてあったので、これまた5万通貨で始めることにしました。
連戦連敗スタートから、損切り貧乏へ
私の計算では、100万円の種銭が1週間後には2倍になっているはずでした。
が、結果は1週間でマイナス50万。20回以上取引して勝ったのはたったの1回だけで、あっという間に資金が半分になってしまいました。
あれ?
やり方はデモトレードと全く同じです。
上がりそうだな、と思えば買い。下がりそうだな、と思えば売り。
戦略とか、詳細はあまり覚えていませんが、とにかくティックチャートばかり見ていたことだけはよく覚えています。
ティックチャートで、何かの拍子に急にレートが大きく動いたら戻りを期待しての逆張り。
これだけだったと思います。
今思えば、よくこんな素人丸出しのやり方で、勝てると思い込んでいた自分を殴ってやりたいくらいですが(笑)、しかしデモトレードでは確かにこれで面白い様に勝てたのです!
なのに、デモトレードでは1週間で200万の利益で、リアルトレードではマイナス50万の損失。
一体、この差はどこから来るのか。
単に運の良しあしの差?
一応、デモトレードもリアルトレードも、取引履歴は残っているので、私は両者の取引の詳細を比べてみることにします。
すると、とあることにすぐに気づきます。
デモトレードに比べて、リアルトレードでは、ポジションの保有時間が非常に短い。
- デモトレード:平均保有時間:30分
- リアルトレード:平均保有時間:5分
実際には、正確に平均保有時間を算出したわけではありませんが、大体、これくらい保有時間に差がありました。
デモトレードでは、あまり緊張感がなく、テレビを見ながらやっていました。
しかも、前述したように損切りは一切なし。した覚えがありません。
買う(売る)→テレビを見る→たまに取引画面をチェックする→数万円の利益が出ていたら決済
ただ、これの繰り返し。このサイクルが丁度30分くらいだったんです。
テレビは約15分おきにCMが入りますから、保有時間のほとんどは15分の倍数でした(笑)。
対してリアルトレードのほうは、ポジションをもって数分立たないうちに決済してしまっているケースが目立ちました。
リアルトレードのほうは、当然、テレビを見ながらというわけにはいきません。取引画面と常ににらめっこ状態。
だから一目瞭然なのです。損失がどんどん膨らんでいく様子が。
私は5万通貨でトレードしていました。そして当時のFX業界はドル円のスプレッドは4銭が平均的。FXプライムbyGMOさんもそうでした。
つまりポジションを持った瞬間から、いきなりマイナス2000円の状態から始まり、1銭反対に動くごとに500円ずつ加算されていくわけです。
FXは手数料0円という触れ込みですが、スプレッド4銭で5万通貨で取引すれば、実質的な手数料は2000円なんです(今はほとんどのFX業者でスプレッド0,5銭以下なので手数料は10分の1程度ですが)。
考えてみれば当たり前ですし、デモトレードでも同じ条件ですが、テレビを見ながらデモトレードをしていた私は、このことを軽く見ていました。
サラリーマンやフリーターの方ならわかりますよね。
2000円稼ぐのがどんなに大変か(笑)。
しかも反対に動くごとに500円づつ損失が膨らんでいくわけです。
これは薄給サラリーマンの私には正直きつかったです。
え、別に大したことないんじゃ……という方は、少なくとも私よりも度胸がありますし、間違いなくギャンブルの才能があります(笑)。
でも、為替相場なんてちょっと目を離した瞬間に10銭くらい動きます。いえ、実際には10銭動くには10分以上かかる場合がほとんどですが、緊張が極限まで高まっている状態の私にとって、それはまさに一瞬なんです。
マイナス2000円→マイナス7000円→マイナス1万2000円→マイナス2万4千円!
まさにあっという間です。少なくとも私にとっては一瞬のできごとなんです。
瞬きしている間にマイナス2万とか3万とかになっているんです。
「あれ?俺の日給超えてるんじゃね?もしかして俺今日ただ働きしたことになるの?」みたいにネガティブな考えばかりが頭をよぎります。
そしてついにはパニックになって、損切りしてしまいます。損失額の大きさもそうですが、なりよりも緊張感に耐えられないんです。
マイナス50万のうち、マイナス30万くらいまではポジションの保有時間は軽く10分を超えていました(私にとっては一瞬でしたが)。
ですが、取引履歴を見るに、私のポジション保有時間は徐々に短くなっていき、最終的には5分を切るまでになっていってしまってました。
FXはメンタルの弱い奴は勝てない
これは、徐々に私のメンタルが弱り始めていたことを意味します。
つまり最初のほうでは我慢できたマイナス1万円が、いつしか耐えられないくらいの損失に思え始めていたわけです。
メンタル的に耐えられる損失額が、負けが続くとともに小さくなっていたのです。
結果、私は、少しでも逆に相場が動いて損失が膨らむとすぐに損切りするようになっていきます。
時には1分もたたない間にマイナス5000円程度でも損切りするようになっていました。
その結果の20戦1勝19敗です(こういうのを損切り貧乏と呼びます)。
今思えば、少し運も悪かったのでしょう。
想定通りに相場が動いてくれることが20回やってただの一度もなかったのですから(笑)。
でも、FXをやっていれば、買えば下がる、売れば上がるみたいな、そういう運の悪い時期はよくあります。
ただ、私の場合、いきなりスタートでそれにぶち当たってしまいました。
戦略やトレードルールなど、一切なかったことが一番の問題なのは言うまでもありませんが(笑)。
- とにかくFXはメンタルが大事。
- デモトレードとリアルトレードの緊張感の差はすさまじい。
そのことが身に染みてわかった1週間でした。