日本で震災が起きると何故円高になるのか

日本ではここ20年近く、地震や災害が起きると円高になるという現象が続いています。

1995年1月17日の阪神・淡路大震災→1ドル79円75銭の史上最安値更新(1995年4月19日)。
2011年3月11日の東日本大震災の時→1ドル76円25銭の史上最安値更新(2011年3月17日)。

普通、災害が起きると、その国の経済にとってはマイナス。
なら、震災が起これば、日本の信頼の証でもある円が売られるのが理屈なのでは?と思う人がいるかもしれませんが、相場の世界というのは理屈ではなく人間心理によって動くという性質を持っています。

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震災=円高の理由

震災が起きると、為替が円高に振れるのは、保険会社のレパトリが原因だとする人が今でもいます。

しかし、阪神・淡路大震災の時は、その説が有力でしたが、今ではそれが間違いであることがわかっています。

レパトリ(リパトリ)とはレパトリエーション(repatoriation)の略で、直訳すると本国送還。
日本の企業などが外国資産を日本円に買える動きのことを指します。
例えば、トヨタ自動車など、米国で車を販売している企業は売却益として大量の米ドルを保有していますが、毎年3月の期末決算期に日本円に両替する必要に迫られます。
このことからレパトリが起こる3月は円高になる、というアノマリーが存在するくらい、為替相場に与える影響は大きいとされています。

日本の損害保険会社や銀行は、普段、何もない時は、顧客から預かっているお金を投資に使っていますが、震災が起こると、損害保険会社は災害保険料の支払いのために大量の円が必要になります。

だから、海外に投資しているお金を円に変換する必要があり、その際に「円買い」を行うので、その動きが原因で円高になる、という論調が阪神・淡路大震災の時は強かった記憶があります。

しかし、そもそも日本の保険会社が海外に投資しているお金全てを円に換えたとしても、円相場を大きく動かすほとではないことが最近では知られています。

ゴールドマン・サックス証券の試算では、国内損保業界の支払予想額は6000億円強。大手3社の手元資金は1兆円近くあるため、わざわざ海外の資産を売って国内に資金を戻す必要性は低い(日本経済新聞)

震災が起きると円高になる本当の理由は投機筋の仕掛け

では、何故、震災が起きると円高になるのか。
現在、もっとも有力とされているのが、ヘッジファンドなどの仕掛け売り。

例えば、阪神・淡路大震災の時は、円高トレンドの最中でしたが、実際に円が当時の史上最高値を付けたのは、震災が起こった3ヵ月後です。

1995年1月17日の阪神・淡路大震災→1ドル79円75銭の史上最安値更新(1995年4月19日)。

震災発生後から、急激に円高に振れるまでタイムラグがあったことになります。

しかし、その15年後の東日本大震災の時は、震災発生の約1週間後に史上最安値を更新しています。

2011年3月11日の東日本大震災の時→1ドル76円25銭の史上最安値更新(2011年3月17日)。

これは世界中の投資家が、阪神・淡路大震災の時に円高になったことを覚えていて、東日本大震災の時に大量の仕掛け売りを行ったからだと推測できます。

下図の長いひげができているところが最高値を更新した時です。

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しかし、当時は2008年のリーマンショックから始まる長い長い円高トレンドが続いていて、ドル円はかなりの円安水準にありました。
当時の日本でもこの円高問題が懸念されていたこともあって、この仕掛け売りに対する政府の対応は早かった。

G20各国の賛同を得て、円売り介入を開始。
投機筋の仕掛け売りに対抗することになります。

その後、しばらくはドル円のレートはじり貧を続けましたが、日本政府の我慢強い買い支えが功を奏したのか、史上最安値75.54円(2011年10月31日)を更新した後、2012年の初頭あたりから怒涛の円安トレンドが始まることになります。

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要するに、仕掛け売りは失敗に終わったわけですね。

熊本地震(2016年)と今後のドル円の動き

というわけで、このたびの2016年4月14日に起こった熊本地震の直後には、それほど急激に円高は進行しませんでした。
仕掛け売りはほとんどなかった、と言っても良いと思います。

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しかし、上の図を見てもわかるように1日で3円近くも円高になるなど、今回も急激な円高になる動きが見られますし、この後、ますます円高が進む可能性もあります。

が、今回の動きは震災直後の混乱を狙った仕掛け売りによるものではないと思われます。

では、何が起こったのか、というと単純に株安に対して引きおこった円高なのではないでしょうか。

日経平均株価が下がると何故急激に円高になるのかでも書いた通り、日本では株価の急落と円高がシンクロする傾向がありますが、今回も見事に連動しているのがよくわかります。

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日経平均株価とドル円のレートが連動する理由には、投機筋の仕掛けが関係しているので、今回も仕掛けがあったことはあったのでしょうが、過去2回とは様相が全く同じではなく、過去2回の動きを踏まえて今回がある、というのがここまでの話でよく理解してもらえるのではないでしょうか。

要するに何が言いたいのかとうと、一番最初にも書いた通り、相場を動かすのは理屈ではなく、人間心理である、ということです。
人間が必ずしも正しい判断を行うとは限らない以上、相場に心理的なノイズが発生するのは仕方のないことです。

そういう意味でも、今後、ドル円のレートがどのように動くか。

阪神・淡路大震災の時のように、少し時間を空けた後に、急激に円高が進むのか(100円割れはあるのか)。
それとも、今回の円高は一時的なもので終わるのか。

予測はできても、確実に言い当てることは誰にもできません。

私たち個人投資家は、くれぐれも他人(テレビのコメンテーターや著名な投資家)の言葉に惑わされることのないよう、しっかりと自分なりの相場観をもってトレードを行っていきたいものです。


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