政策金利とインフレと為替相場の関係

為替取引における経済指標の中でも最重要なのが、各国の金融政策の動向に関するものです。
特に政策金利の引き上げ(引き下げ)は、注目度が高く、噂が噂を呼び、時にその国の通貨価値の大変動をもたらします。

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何故、政策金利が上がると(下がると)通貨が買われ(売られ)るのか

政策金利が引き上げられると、多くの場合、その国の通貨は為替相場で買われやすくなる傾向にあります(逆も然り)。

理由の一つはスワップ金利。
政策金利とスワップ金利の関係でも述べましたが、FXで得られる利益の一種であるスワップ金利は、二つの国の政策金利の差によって決定されます。

そのため、スワップ金利目的で為替取引を行っているトレーダーは、単純に高金利通貨と円の組み合わせでのロングポジションを持ちたがる傾向にあります。
例えば、2016年3月現在、トルコと日本の政策金利の差は実に7%もあり、この場合、1年間トルコリラ円を保有していれば、それだけで年利7%程度のスワップ金利が得られることになります。

政策金利とインフレの関係

また、一般的に政策金利とその国の景気には大きな関連性があります。

基本的に景気が良いとは、物が買われやすく、企業が利益を上げやすい状態のことです。
企業の売り上げがアップすれば、サラリーマンの給料も上がり、当然、各家庭の財布のひもも緩くなりがちなので、モノやサービスを購入しやすくなります。

多くの人が特定の人気商品を購入しようとすると、売り切れなども続出することもあるでしょう。
その場合、商品価格が天井知らずで上がることもあります。
そうするとますます企業は利益が上がり……。

この「好景気→物価上昇→企業売上アップ→ますます好景気→……」という流れをインフレ(インフレーション)スパイラルと言い、国の景気が良くなる過程で起こる現象です。
が、良いことばかりのように思えて実はインフレはメリットだけでなくデメリットもあります。

それは行き過ぎたインフレはバブルやハイパーインフレに繋がるということです(ハイパーインフレに関しては後述)。
1990年代、日本は空前のバブルに見舞われ、不動産投資や株式投資が活発化しましたが、行き過ぎた投資に歯止めがきかなくなり、物の価格は常識の範疇を超えて狂ったかのように上昇、しかし、その後、バブルは崩壊しました。
バブル崩壊後の日本に大不況時代が訪れたことは歴史の教科書にも載っていますから、多くの人がご存じでしょう。

日本ほどでなくても、そういった事例は数多く存在するわけで、だから、好景気だからと言って喜んでばかりはいられないわけですね。

そのため、各国の中央銀行は、バブルやハイパーインフレを起こさないため、インフレ率(物価上昇率)を一定の範囲内(2%程度)に収めるよう、常に監視し、政策を打ち出します。
この「インフレを抑えるための金融政策」の代表的なものが、政策金利を上げること。

一般に企業は銀行からお金を借りて事業を行っているので、金利を上げることで、企業の活動レベルは若干低下します。
また、個人もローンを組みにくくなったりして、不動産など、お金を借りてまで物を購入しようとは思わなくなります。

金利が高ければ、利息も多くもらえるので、お金はできるだけ使わずに銀行に貯金しておこう、という人も増えることになります。

まとめると、好景気になると金利が高くなる=景気のいい国は金利が高い、となるわけです。

また、景気のいい国は企業の売り上げが順調に伸びている状態ですから、当然、株価も上昇基調に入っていることが多いです。

例えば、日経平均株価が連日の高値更新!みたいなニュースを見ると、株式投資を始める素人投資家が増えますが、これは国内だけでなく、海外の投資家も日本の株を購入したいと考えるようになります。

日本の株を買うには円が必要ですから、アメリカ人投資家が日本の株を購入する場合、ドルを円に換える(つまりドル売り円買い)を行う必要があります。

  • 景気が良い
  • 金利が上昇
  • 株価が上昇
  • その国の通貨高になる

これらは基本的に同時の起こる、とされています。

高金利通貨国は本当に好景気?

ただし、上記の4つが連動することは、あまりありません。
この辺りが経済の複雑なところと言えます。

例えば、日本の場合、株価上昇と円高は相反する関係にありますし、景気も悪く金利もずっと低いままなのに、株価だけが上昇することもあります。

上記の4つは同時に起こりやすい、というのが基本的な見方ですが、それゆえに政府の政策等に利用され、歪められることも多いのです。

近年の、日本の場合だと、アベノミクスと呼ばれるものなどがそれに当たります。

  1. 政府が景気回復を大々的にアピール(嘘?)
  2. 実際には景気は回復していないのに株価上昇

こういったことは、日本だけでなく、世界中のいろんな国で起こります。

また、オーストラリアやトルコのように輸入産業が経済を支えているような国では、その国の通貨安は、企業の売り上げダウン=個人消費の落ち込み=不景気、につながります。

豪ドル円のレート100円の時。
日本から100円の物を購入(輸入)するには1ドル必要。
豪ドル円のレートが80円の時。
日本から100円の物を輸入するには100÷80=1,25ドル必要。

つまり豪ドルの価値が下がる(100円から80円)=物を買うのに必要なお金アップ=物価上昇、となります。

先ほど、物価が上昇すれば、企業の売り上げがアップ、と言いましたが、この場合は状況が違います。

企業の売上アップ→お金持ちが増える→物が不足する→物価上昇(以下繰り替えし)。

これは先ほど述べたインフレ・スパイラルになります。お金持ちは、少々物価が上昇しても購入を控えませんから起こる現象です。

しかし、似ているようで下のような状態は全く違う現象と言えます。

自国の通貨価値が下がる→輸入価格上昇→輸入企業の業績悪化→給料が減りお金持ちが少なくなる→物が買えない(売れない)→価格を下げざるを得ないので輸入企業以外のの売り上げもダウン→お金持ちがさらに少なくなる→さらに物が売れなくなり、物価が下落。

こういうのをデフレ・スパイラルと呼び、景気が悪化する過程で発生する現象なのですが、輸入企業が経済の中心となっているような国では通貨価値が下がると、このデフレ・スパイラスを引き起こす要因となります。

つまり、このような景気の悪化やデフレ・スパイラルを生まないよう、オーストラリアやニュージーランドやトルコなどの国は金利を下げないように頑張っているわけです。

金利が高ければ、その国の通貨を持ちたいと考える海外の投資家を呼び込み、通貨高へと繋げることが可能になるわけです。

しかし、本来、高金利は企業活動や個人消費を抑えるためのものでもあります。

  • 高金利を維持することで、外貨を呼び込むと同時に輸入産業の活動を支える
  • 高金利は(輸入産業以外の)企業活動や個人消費にとって大きなマイナス

両者は、明らかに矛盾しています。
だから、プラス要因とマイナス要因、二つを比較して、どちらの影響がより大きいのか。

その判断を間違うと、とんでもないことになります(実際、自国の通貨価値を支えるために政策金利を高めにしていたアルゼンチンは、この矛盾に我慢しきれず、2001年、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥りました)。

要するに、高金利国家の高金利政策は、ある意味、苦肉の策であり、諸刃の剣と言ってよいことになります。

トルコなどもいずれアルゼンチンのようになる可能性がないとは言い切れません。

政策金利に関する経済指標

というわけで、各国中央銀行が発表する政策金利には、世界中の投資家が注目することになります。
金融政策での失策は、時に国家の破綻に繋がるわけですから、当然ですね。

各国政策金利発表は、ほぼ毎月のように発表されますが、基本的に不定期なので、ある日突然引き上げや引き下げが発表されることもあり得ます

米FOMC:年8回
ECB(欧州中央銀行):ほぼ毎月
BOE(イングランド銀行):毎月

特に米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が開催するFOMCは日本時間の深夜(夏時間:午前3時15分、冬時間:午前4時15分)に発表され、しかも時に雇用統計なみに、相場が大きく動くので要注意。
そのため、FORM政策金利発表がある時は、ポジションは必ず閉じておくようにしたほうが無難です。

また、先ほど、アベノミクスを例に述べましたが、基本的に政府は、景気の悪化=支持率低下、となるため、政策金利に関する要人発言では嘘とは言わないまでも、それに近いグレーな発言が多く、またそれが許されてきた歴史が存在します。

まだまだ利上げは行わないよ、と言っておいて、突然利上げする。
そうすることでサプライズを引き起こそう、という思惑が隠れていたりするので、要人発言を鵜呑みにするのだけはやめましょう。

相場(投資家)というのは何よりもサプライズに弱いという特徴があります。
政策金利発表の際もこれは同様で、政策金利の引き上げが発表されても、それがサプライズでなければ「織り込み済み」として全く相場が動かない時も多々あります。

ちなみに豆知識として、欧州は世界大戦後など、過去にハイパーインフレ(操作不可能なレベルのインフレ。数年前、ジンバブエで起こった現象)を何度も経験したこともあって、インフレに対する警戒心が他国よりも非常に強く、そのため、余程のことがない限り、政策金利の引き下げは行わない、という傾向があるので、その点も考慮に入れておきましょう。

インフレを表す経済指標の重要性

政策金利とインフレに大きな関連性があるということは、インフレ指標と言われる2つの指標に注意を払うことで、各国の金融政策の行方を読み取ることができるということでもあります。

  • 消費者物価指数(CPI:Consumer Price Indexの略)
  • 生産者物価指数(PPI:Producer Price Indexの略)

前者は消費者(物を買う人)の立場から見た物価の変動模様を指数にしたもので、後者は生産者(物を作る人)の側から見た指標です。

特に価格変動率の高いエネルギー、食品、たばこ、アルコールなどの除いたコア指数のほうがより重要で、この指標に発表値と予想値とのズレが大きい場合、為替レートも大きく変動することになります。


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